2011/12/24

タイトルがうまい!「できそう」な感じがしますねー

知的複眼思考法
知的複眼思考法
  • 発売日: 1996/09/25

『知的複眼思考法』苅谷剛彦
[16/223]Library
Amazon ★★★★☆
K-amazon ★★★☆☆

原文は15年前に書かれたもの。東大教授である著者が、「いまどきの若者」の考え方の貧弱さを例に出していますが、その後「東大生」のレベルは上がったんでしょうか...すでに当時から「考えることをしなくなった」若者がいたようです。おそらくは、今現在、「当時の若者」は、そのまま「若者」ではなくなって、起業や団体のコアな立場になっていると思われます。本書で指摘されるような「考えることをしない」まま、の状態であれば憂うべき事態になってしまっているのでしょうか...

いかにも「東大のセンセ」という書き方、進め方で(こういう考え方自体が「単眼思考」ですが)時々、文章の理解ができない状態になります。こちらの理解力の問題でしょうけれど、全面的に「わかりやすい」、という内容ではないようです。事例での説明が多いので、それが「複眼思考」とは何か、理解するのに助けになります。


「複眼思考」、つまりは、視点を複数持つこと、考えるベースとなる視点を広くもつことが、物事の理解の深さや、本質を見抜く力を養う。正解がない社会での「問い」に対して、「考える」ことを実践すること。これの大事さと、そのためのトレーニング法が書かれています。どうしたら「複眼」発想ができるか、というヒントがちりばめられているのですが、イメージとしては「アカデミック」 の度合いが高くて、少々現実離れが...言われれば「確かに」ということはあります。学生の時代からかなりの時間が経って、それなりの社会経験を経た自分が読んで、なんとか理解、実感できるようなものが多く、現役の学生だとどうヒビくのか分かりませんが、ちょっと難解かもしれません。

むしろ「考える」ことが必要な社会人レベルの方が、ハマる可能性があるような気がします。大人の視点からは「若者は考えることをしない」と見られがちですが、実は「考えている」、もしくは考えようとしている若者は少なくない。自分のまわりにもいます。それこそ「単眼思考」であったりします。自分の客観視して、俯瞰する見方、裏側から見る視点、実行している人は年齢とは無関係かもしれません。

「複眼思考」を身につけるためには、著者が指摘するような勉強法、情報収集、アウトプット手法を実践すること。ですが、おそらくはその前提として、「関心・興味」というのが欠かせないでしょう。これがないと、考えることをしなくなります。そして「押し付け」の考え方は、身につきません。それも含めて、幅広く、凝り固まることなく、自由な「考え方」を維持したい。

年齢を重ねるにつれて、「柔軟」でなくなることに危機感があります。発展、とまではいかなくとも、「複眼思考」を維持する手法、こんなテーマでもおもしろいですね。実は(言葉は違えど)「複眼思考」的なハウツーは、結構存在するので(おそらく本書はその原典に近いものでしょう)、「その先」の登場に期待しています。

【ことば】問いをずらしていく方法を身につけることで...自分なりの視点をもてるようになる...自分の視点をもつとは、自分がどのような立場から問題をとらえているのか、その立場を自覚することでもあるのです。

「問いをずらす」これが「複眼思考」のテーマといってもいいかもしれません。いわゆる「5W1H」的なフレームワーク。これがシンプルで、且つこの思考法を見つける最も重要なものかもしれない、と、アカデミックな文章を「分解」しながら思いました。ある程度「余裕」を以て、課題に取り組む、という環境も必要かもしれません。一歩引いて見ることで見えてくるものもありますしね。

知的複眼思考法

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