2011/12/13

ディベート...本質はそこではない。

武器としての決断思考 (星海社新書)
武器としての決断思考 (星海社新書)
  • 発売日: 2011/09/22

『武器としての決断思考』瀧本哲史
[9/216]bk1
Amazon ★★★☆☆
K-amazon ★★★☆☆

国や会社という「箱」に守ってもらう、それに頼ることがもはや期待できない、期待しちゃいけない時代になってきた。それに対応するして「生きて」いくにはどうしたらよいのか。そんな時代に「あるべき」姿を解説。
京大での授業を本書で再現!ということらしいです。内容は「ディベート」思考で、ひとつひとつの課題をクリアしていこう、というもの。そもそも「課題」であるのかどうか、という定義から、議論の組み立て、反証、肉付け...そして「決断」。日本では馴染みがないが、ゲーム的な「ディベート」の取り組み方、そこから自分ひとりでも、同様の考え方の組み立てをすれば、「今の最善解」に近づける...

いわゆるノウハウ、ハウツー本です。 著者が繰り返し述べておられますが、「正解」のない中で、それに近付くにはどうしたらよいのか、「今の」最善解を求める手段として、このような考え方は「あり」なのでしょう。自分という個人がどのような「武装」をしていくのか、が重要であることは、本書を読むまでもなく、理解です。

否定するようなところはまったくないし、このような「技術」を体得すれば、一段階上がれるだろうなあっていう感覚はあります。ありますが、なんだか「疲れそう」な印象も同時に持ってしまいました。この感覚自体、ダメな証拠、と言われればそれまでですが、「ディベート思考」ですべてを考えることは、自分にはかなり高い壁のような気分です。

この感覚を持つと、 たとえばダイエット食品の広告に騙されないで済む、という指摘がありました。「飲むだけでやせた!」という体験者は、当然にそのサプリメントだけではなく、その他の努力も併用しているはずであり、そこに因果関係はない、と。

確かにその通りなのですが(自分がその手の広告の発信側にいるから、というわけではありませんが)、 「メリットだけでデメリットを示さない」というのは、議論の流れからすると「X」なのでしょうが、ある意味そこに「夢」を提供しているわけで、けして「騙そう」ということではないのです。また、それを「信じる」という気持ちになることだって、(ロジカルではないかもしれませんが)大事なことだと思うのですね。「裏」を分かった上でアクションするのか、単に鵜呑みするのか、という違いを指摘されているのだとは思いますが、「信じるものは救われる」っていうのも、無視するものでもないかな、と。

これは本論ではないのですが、「決断」のための考え方にはもちろん同意です。そして、決断のための知識、そしてそのあとの行動、これらがすべて実行されてはじめて意味をなす、というのも。
そうなんですね、「ディベート」の考え方を説明してもらっていますが、実はシンプルなところ、「知識・判断・行動」という、すでに何度も言われてきていることなんですね。

分かっていながらできない、しない。ここに問題があるわけで。その「できない」ボトルネックは何なのか、っていう方が自分には大事だなあ。テクニック的なものは、「自分にあったもの」を選択するしかないからね。それが「ディベート」思考であるならばそうすればいい。シンプルに考えましょう。

【ことば】自分の人生は、自分で考えて、自分で決めていく

本書のテーマ。本来はそうあるべきで、いつのまにか「誰かの傘」にいれてもらって満足、という時代が終焉を迎えつつある。本書は若者に向けてのメッセージだけれども、この言葉の重みは、実はある程度「楽」をしていた時代の経験者にこそ響きます。要は「主導権」を握ることだと思う。会社に手綱握られて、という時代と、あきらかにそうではないという未来。過去を知る世代にこそ、必要な考え方ですね。

武器としての決断思考 (星海社新書)

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レイくんの樹海
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