2011/12/16

「仕組み」と言ってしまうと、違和感ありだが...


『35歳からの「脱・頑張り」仕事術』山本真司
[11/218]bk1
Amazon ★★★★☆
K-amazon ★★★☆☆

「マネージャーとして失格」の烙印を押された著者が、いかにマネジメントを克服していったか、自分を変えていったか、という内容。そしてその自らの「変化」の方法を「仕組み」として汎用なものとして紹介する。かなりの「謙遜」だと思うが、才能も人心掌握力もなく、ただ「自分で最後まで仕事をやり遂げること」のみにプライドを持っていた「現場」の人間が、マネージャーになってもスタイルを変えなかった。プレーヤーであり続けるマネージャー。部下からの「一緒に働きたくない」発言までも出るようになり...

そこで、施行錯誤しながら、2段階、3段階の「マネージャーとしての」ステップを上がり、今やその道の「成功者」。故に、「駄目な人間でも行動を起こせば、『仕組み』を身につければ、成功する」というストーリーなのだ。著者自身、マネージャーとして認められない時代も、一つだけ貫いていた信念があった。それは「仕事の質を落とさない」ことだった。故に、人(部下)に任せられない。なぜ自分のように努力しないのか分からない...よくいう「名選手は名監督になれない」というフレーズを、そのままあてはめられるようなタイプだった。

そんな苦悩を変えたのは、やはり「質を落とさない」という信念だったのだと思う。本書では直接それが要因だとは触れていないが、相手(お客様)を大事に思う気持ちが、次第に部下い対する感情にもシフトしていった様子がうかがえる。それを持っていなければ成し遂げられなかったのは事実だと思う。

その前提があってはじめて、本書で紹介されているような「テクニック」が生きる。ミーティングの仕方や、立ち居振る舞い、部下のやる気に火をつける「演技」、等々。これらはウワベだけではいずれはがれるものである。「仕組み」は、軸があって初めて成り立つ。

いろいろな会社があれば、部署があれば、そこに属する部下の「考え方」は様々である。大企業だけではなく、少人数の会社でも、「空気」(文化、とは言えない)が人の考え方を支配することも少なくない。これは経験値からも確か。そのすべてに当てはまる「仕組み」だと著者は主張するが...やはり表面的に「ミーティングをこうする」「叱り方、ほめ方はこう」ということを本書から学んで実行しても、「薄い」ものになってしまうだろうね。

縁あって一緒になったチームのみんなに、自分の経験値やスキル、持っているものすべてを分け与えたい。心からそう思えるかどうか。そしてその結果が、チームとしての「成果」に結びつく。40代半ばになって初めて自分にも芽生えた感情である。自分の持っているものは、すべて伝承したい。それをどう料理するかは、当人が施行錯誤してくれればいい。前時代的で合わないものもあるだろうし。

「35歳から~」というタイトルですが、40過ぎの自分にも力になる部分はあります。十分重ねられる内容です。これを以て変わった、という著者本人が言うのだから、臨場感、リアル感ありますね。一番の「仕組み」は、「仲間」という意識、ですね。目標を達成して一緒に泣けるかどうか。社内の直接的な部下にも、外部のパートナーにも、同じことが言えます。それには自分の「軸」。これ。

【ことば】行動、行動。それがマインドを変える。不自然でも良いじゃないか。わざとらしくてもよいじゃないか。

著者が指摘するように、「マインドを変えよう」っていうのは困難。特に「以前の」著者と同じタイプであった自分のような人間にはかなり困難。よって、「行動」。わざと、敢えて、意識的に動くことで、周りも変わる、自分も変わる、結果、マインドが変わる。分かりやすい。

35歳からの「脱・頑張(がんば)り」仕事術 (PHPビジネス新書)

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千早振る日々


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