- 察知力 (幻冬舎新書)
- 発売日: 2008/05
[19/103]BookOff
Amazon ★★★★☆
K-amazon ★★★☆☆
出始めの頃から知っている「俊輔」の本。特別サッカーに詳しいわけではないが(にわか「代表ファン」です)、彼の出現と、日本代表への注目度はその軌跡が重なるような気がする。そして「強くなっていく」過程においても中村選手の登場と重なります。日本代表での話ではなく、イタリア、スコットランドでの海外挑戦の話、挫折を伴った(そしてその後の中村俊輔を作り上げた)中学時代の話、これが中心です。
他の選手と比べても、体が大きいわけではないし、カズやゴン、ヒデのような存在感があるわけでもない。けれど、間違いなく中心選手である。そんな著者の位置づけが、書かれているご自身の性格と非常にマッチします。自分を高めることに常に主眼を置いている、厳しい環境に自らを置くことでいろいろな「引き出し」を備える、サッカー(がうまくなること)のことだけを考える、等々。タイトルの「察知力」というのは、(彼が考えた言葉かわからないけど)単に「空気を読む」ことではなく、その場その場で求められるものに対応できるように、常に準備を怠らない、ということ。自分の得意な分野のみならず、その周辺(サッカーでいえばポジションになる)についても十分にこなせるようなスキルを身につける、ということ。ともすれば、「監督のスタイルに合わせたサッカー」ということで、日和見的なとらわれ方もされてしまうが、本人はまったくそんなつもりはないようだ。敢えていえば、「自分のこと」を常に考えている。これも「いい意味」でとらえれば、自分が成長する=日本サッカーが世界に発信できるような位置に上ることができる、ということ。
派手さはないけれども、こういう「真摯に」考える人がいることは日本サッカーに関してプラスになると確信する。無責任なファンとしては、「プロなんだからもう少し『花』があっても...」という気にもなるが...前に読んだ遠藤選手もしかり、30歳という年齢がもはやベテランになる世界。厳しいですねー。中村選手は、その中で自分の「役割」の変化、ということも意識している。この年代のサッカー選手が、同年代のサラリーマンと比べて「しっかりしてるわあ」とオジサン的に思ってしまうのは、こういう環境も手伝っているようですね。もひとつオジサン的に言えるのは、(この本に書かれていないだけだろは思うけれど)著者が「サッカーの世界」だけを見ていることがちょっと気になる。将来指導者を目指す中村俊輔であればこそ、違う世界の「一流」も体感しておく必要があると思います。それが「引き出し」になるでしょうから...ひとつのことに打ち込むのは大事、そしてそれが前提ではあるけれども、その世界をちょっと外から見てみる=他の世界に触れることも大事なんだなあ。
【ことば】今の自分にできることを、手を抜くことなくやった、という実感を持てる毎日を過ごすこと。簡単そうに見えて、これが難しい。
真実。まずは「実感を持てる」まで、手を抜くことなく毎日やることですね。これが起点ですべてにつながるね。何年も練習を積み重ねて、さらに進化する中村俊輔の言葉だけに、重いです。
察知力 (幻冬舎新書)
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