2011/05/25

来た!「本質」がすべてあますところなくここにある

『自助論』サミュエル・スマイルズ
[15/99]Library
Amazon ★★★★☆
K-amazon ★★★★★

成功のための原則-注意力、勤勉、正確さ、手際のよさ、時間厳守、迅速さ。この「原則」を貫く努力、誠実さ、実行力。基本、この「原則」を拡張して説かれている内容。現代のすべてのビジネス書は、この本に集約される、といっても過言ではない。が、実はまったくの逆で、この本は(なんと!)1858年に書かれている。そうです、すべてのビジネス書はここから始まっている、といった方が正しいのかもしれません。当時はまだ有り余る力を持っていたイギリスが舞台ですが、うわべの金銭的な繁栄や、ましてやテクニック的なものは一切ありません。一番グサッときたのは、「人からどう見られるか」という心配は、自分が正しいことをしている、という信念があれば、気にする必要もない、ということ。もっと言えば、ヒトの目が気なるようでは、まだ自分を極めていない、ということ。
すべて「本質」が書かれているようです。常に注意力を持って事物に取り組めば、意外な場面でヒントを得られる可能性も高まる、とか、自分の使命に燃える、とか、事案の大切さ、お金は大事だけれども知恵はそれに勝る、人生の師、友との出会いを大切にする...150年前の本です。その時に比べればイギリスもそうだし、日本も世界もずいぶん変わってきています。ビジネスのスタイルも同様。でも。でも、そこで働く人間としての本質は何も変わらないんだなあ、という感動。貫くものを持つこと、正しいことを誠実に実行すること、自分で吸収する意識を持って取り組めば(仮に時間はかかっても)自分のモノになること、その「達成」のためには忍耐強く信じることを続けること。すべてが突き刺さる、と言っても過言ではありません。今の自分に欠けているところ、以前は持っていても忘れかけていたものが、見つかります。イギリスという国の違い、書かれた時代のための事例の古いところ、「繰り返し」が多くて少し読みにくいところはありますが、社会に生きる、もっといえばこの世に生を受けた人間として、プラスになるポイントが多数見つかります。
訳者のあとがきで、「若い人に読んでもらいたい。一方でやや年とった人にも読んでもらいたい。」とあります。「やや」の部類に入る自分ですが、自分のことももちろん、「若い」人の成長にも寄与したいと心から思った。誠実に生きること。「誠」の文字を、両親から名前に入れてもらった自分として、この文字に恥じない自分でいたい。

【ことば】品性を堕落させるくらいなら全財産を失うほうがまだましである。なぜなら、品性はそれ自体がすぐれた財産だから...

ヒトとして何が一番大事なものか、というのを考えさせられる。もちろん「財産」も大事だけどね。目的ではない。これもそうだけど、心にとめておくべきフレーズがヤマほど出てきます。読むときは「付箋」を用意することをお勧めします。

スマイルズの世界的名著 自助論 知的生きかた文庫

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