- 大切なひとのためにできること がんと闘った家族の物語
- 発売日: 2011/06/01
[14/98]R+
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K-amazon ★★★★☆
数々の賞を受賞した映画「おくりびと」。その宣伝担当者が語る、父親の「がん」との戦い。知らされた時から別れの時まで、ご自身の気持ちを、率直に表した内容です。
父と娘。自分の環境に当てはめてしまいました。著者のお父さんは、告知がなされて以後、どんな気持ちで「戦い」に挑んだのだろう。何かが見えてしまっている環境の中で、家族に迷惑をかけない、とかそんな気持ちと、実際に行動を起こされたことが記されています。著者のお気持ちの「やるせなさ」も痛いほど伝わってきますが、当人はどのようなお気持ちだったのでしょうか...自分がもしもそうなったらどうなるんだろう。自暴自棄になってしまうのか、ただ衰弱していくのか。想像だにできませんが、著者の家族のように、自分にも大切な家族がいます。その思いが断たれようとしている「先」に対する不安に勝てるのでしょうか...
仕事も大変な時期だったと思います。映画の宣伝担当がどのような時間の流れ方なのか分かりませんが、「定時」のOLさんとはまた違うことでしょう。持って行きようのない気持ちを抱えたまま、仕事にも支障がでないような生活をし、「支えること」「愛すること」そして「伝えること」に、著者は気付き、実行していったようです。苦しいのは当人。その姿に支えられて、周りもできうる限りのことをした、そんな時間だったような気がします。
でも、父親としては、そんな境遇になっても娘が心配だし、娘に苦労はさせたくないような言動も見られました。これ、分かります。軽く「分かります」なんて言えないとは思うけれど、でもどんな状態になったとしても、親子は親子。何よりも愛すべき存在であることには変わりないんですね。だから(かなり僭越な言い方ですけれど)、おとうさんが動けなくなってしまったときでも、娘さんはおとうさんに支えられていたんですよ、きっと。著者はそれがわかっていると思います。だからきっといい「親」になれるでしょうね。そしてそれが「親孝行」なんじゃないですかね...
残り時間が少ない中、伝えたいことがいっぱいあるのに、面と向かうと言葉がでてこない。そんな著者の言葉がありました。でもね、それは伝わってると思いますよ。親にはわかるんです。
「がん」という病気、それが進行して、そして...こんな話を読むの初めて、でした。なんとなく拒絶している自分がいます。でも、(別にその病気に限らず)「ゴール」は考えなければいけない時期には来ているのかもしれません。その時に「後悔」したくない。だから「今」を生きる。そりゃ、残念に思う気持ちは湧き出てくるでしょう。でも、変えられない過去を素敵に彩ることは、「今」からでもできる。だから真剣に生きる。今、この時を大事に。
【ことば】その瞬間、家族全員で、「お父さん、ありがとう!!...」父の心に届くように、力一杯伝えました。
きれいなことばです。おとうさんもうれしいはず。そして心からこう言える家族も、素敵です。
大切なひとのためにできること がんと闘った家族の物語
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