2011/05/12

「漢字は楽しい」ねえ...「文字学」はまあまあ、だけど

白川静さんに学ぶ 漢字は楽しい
白川静さんに学ぶ 漢字は楽しい
  • 発売日: 2006/12/18
『白川静さんに学ぶ 漢字は楽しい』小山鉄郎
[7/91]Library
Amazon ★★★★☆
K-amazon ★★★☆☆

これでも結構「漢字好き」である。今はいろいろゴタゴタしてますが、「漢検」もわりと初期のころに受験したりして。その「成り立ち」を知ると余計に興味がわく、という感覚はよく実感できます。漢字は好きだし、本も好きなんだけど、「漢字のうんちく」系の本は、どうも苦手。1冊の中にいろいろ盛り込んでいるものが多くて、本全体の「ストーリー」が見いだせないせいかなあ、なんて思っている。
そんな気持ちを持ち続けている中で、久々の「漢字本」です。その道の権威である白川先生の「文字学」ですが、それをわかりやすく説明してくれる内容。
「右」と「左」
「手」に関する漢字
「道」になぜ「首」がついているのか(これって以前テレビで武田鉄也がなんか言っていたような...)
などなど、面白い「成り立ち」がつづられています。基本形、というか、シンプルな漢字の「歴史」を知る方が面白いですね。それに編や旁がついて難しい(=画数が多い)漢字になると、「あーそーなんだ」くらいの感覚になってしまいますが、「右」の「口」部分が、顔にある「くち」ではなく、祝詞を入れる箱である、なんてエピソードはかなり印象に残ります。
これらを知って漢字を覚える、というよりは、理由もしらずに覚えた漢字が「実は...」という振り返り型のほうがより興味がわきますねー。読み物としては面白い。
ただ、図らずも「白川文字学の体系を知るためには~」と著者が記しているように、白川先生の「学問」的な要素も見え隠れします。「こじつけ」とはいいませんが、多少無理があるような「省略」した説明も散見されます。対象とする漢字の数を多くするよりは、シンプルな漢字を深堀りした方が面白いのかもしれない。「文字学」を習得する、のではなくて、漢字の面白さを得たい、というピュアな動機ですので、ね。

【ことば】漢字の説明をする白川さんの姿が楽しく躍動していたのです。

先生は、本当に「楽しんで」研究されていたのでしょうね。また、それを他の人に丁寧に説明される姿が想起されます。それだけ打ち込めるもの、欲しいなあ。

白川静さんに学ぶ 漢字は楽しい

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