2011/05/05

何の本なのかわからなくなりました

『売り方は類人猿が知っている』ルディー和子
[3/87]Library
Amazon ★★★★☆
K-amazon ★★☆☆☆

思わせぶりなタイトル...大枠の論調は、「人類の「前」の時代から脳科学的に変わらない部分が人間にはあって、文化的のレベルが上がっても、人間の根本は変わっていない」ということです。「売り方」というキーフレーズが付与されているので、「じゃあ、その『人間』に売るための手法は?」というコラムを期待しておりました。最初は脳に関する科学的な見地。そして...それで終止してしまって、肝心の(と自分勝手に思っていた)マーケティングとの絡みはあまり見つかりません。
「行動経済学」すなわち、経済的なメリットのみを軸として行動する人間=経済学を突き抜けた、経済xサイエンスといった分野についての説明が続きます。が、そこで上限に到達してしまったようで、「行動経済学から見た場合に今の消費は...」という客観的な事実は連なっていますが、「で?」という言葉が、読み進めていく中で何度出てきてしまったか...脳のどこの部分が活発になるか、なんて、サイエンスはどうでもいい。そんな「仮説」を元にしたときに、じゃあ、これからの社会でどうしていきましょうか、っていう提案がほしかったなあ。「それは読者にお任せ」でもいいんだけど...私はこう思うっ..ていう著者の「思い」みたいなものが見当たらなかったんだ。見つかれなかった自分の読み方が悪いのかもしれないけれど。「ブランド育成には、売上の上下に一喜一憂せずに、マーケティング投資を継続するべし」的な、本質的なフレーズもあります。ありますが、この手のものは「類人猿」に教えてもらう必要はありませんよね。
本の概要(裏表紙)には「まったく新しい消費額の読み物」とありますが、8:2で「脳科学」の読みモノです。逆、せめて5:5くらいだったら、かなり面白いと思いますね。切り口は面白いし、「いくらテクノロジーが発展しても、類人猿から続く『人間』の本質は、こーゆーのを求めている」っていう内容だったらうれしいんだけどね(そういう期待だった...)。

【ことば】進化の歴史の過程で変わったことに注目するのではなく、変わらなかったことに焦点を置くと...自信を持って決断を下すことができます。

いい言葉です。まさにこういうことを求めていました。残念なのはこの言葉がでてきたのが最終ページであることです。

売り方は類人猿が知っている(日経プレミアシリーズ)

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