2011/05/06

いい「年齢の重ね方」です

気にするな (新潮新書)
気にするな (新潮新書)
  • 発売日: 2010/06
『気にするな』弘兼憲史
[4/88]BookOff
Amazon ★★★☆☆
K-amazon ★★★☆☆

「島耕作」でおなじみ、一時期はテレビでもコメントしていたなあ。でも実は「島耕作」って読んだことはない。著者のご自身の人生観、仕事に対する姿勢、人生訓...等々が書かれています。予想通り、「島耕作」中心で、代表的な作品を書くにいたった経緯が中心で、これにご自身の生き方を重ねた内容になっています。
著者自身は、幼少のころに夢見た(そして一度あきらめた)「漫画」という分野で人生を固めた方。ただそこには、還暦をすぎた今でも続く「仕事中毒」的な側面が見えます。本書の内容から、それを「苦痛」ととらえることなく、いつまでも「創作意欲」を絶やさずに、前に進んでいる感じ。ご自身が言っているように、その世界は、老いも若きも同じ土俵で戦っているため、年齢を重ねたから楽ができる、っていう世界でもないみたい。もっとも著者自身が「楽をしたい」とは毛頭思っていないようですが。
人生観としては、個人的に同意できるところが多いです。
不公平を嘆く前に、仕事にまい進すべし。
長期的な夢も大事だけれども、手の届く目標設定が大事。
誰かのせいにするよりは「自己責任」の意識を持つべし。
等々。現実社会を生きる上で、あまりに「夢」を追うのはよろしくない、と説いているが、実際に「動いている」社会での生き方には合致します。一方で「夢<現実」的な側面が強すぎるところは、「少しだけ夢を見たい...」という(甘い)考えを持っているのが自分ですけれども...でもこれも必要だと思うんだよね。「現実的」でもいいけれど、「夢」も大事だと強く思っているので。
いずれにしても「仕事大好き」は素晴らしいことです。「好き」がよい波を呼んでいるでしょうね。還暦すぎても現役。しかも苦にならず。素敵な生き方です。
「ある程度」著者自身の反映でもある「島耕作」であるそうですが、この本を読んでいてその「作品」を読みたい、という気持ちにはならなかった。この本の、「著者の自画像」で十分かと。「説教じみてる」という批評もありますが、自分はあまり気にならなかった。それよりはむしろ、この本を通じて著者が何を言いたかったのか-自叙伝なのか、メッセージなのか-が分かりにくかったかなあ。読み手の都合で判断していいのかもしれないけども。


【ことば】経験をしたこと、見聞きしたことは何でも余すところなく使える...考え方ひとつで、どんな経験でも使える。捨てるところはないのです。

そうなんです。すべての出来事が「今の自分」を作っている、と考えれば、人生に無駄はありません。逆にいえば、(たとえ「今」は無駄だと思われても)いろいろな経験をすることはプラスになる。短期的に考えてばかりでは、よくないよねえ。

気にするな (新潮新書)

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