2011/06/01

「学門」的視点から見るとこうなるのね...

『つながり進化論』小川克彦
[1/104]bk1
Amazon ★★★★☆
K-amazon ★★☆☆☆

ブログ、mixi、Twitter...確かに「時代が変わった」感がある。数年前とは、「インターネット」の位置づけが確実に変わっている。mixi、facebookはキビシイのだが、ブログ、twitterを(ほぼ)毎日自分がやることになろうとは...これらの「ツール」の普及によって、人間関係がどう変わってきたのか、というのが本書のテーマ。タイトルから見て結構面白そう、というか、アップデートな話題、これを違う切り口で切り込んでくれるものと期待。
前半は、電話から始まって通信手段、コミュニケーション手段の「仕組み」の説明なので、これは非常に退屈です。メールがどのような仕組みで送られるか、なんて、一般に「使う」立場からするとあまり有益な情報ではないので...これらはあくまでもツール、ですからね。エンジニアではないので、その仕組みは特段必要はないです。
後半やっと、それらの「一般化」と、コミュニケーションの在り方、というテーマに。「リアル」の世界がベースで後からバーチャルが付加された世代と、生まれた時点からバーチャルが存在する世代の、圧倒的な価値観の相違、これは確かにあるね。自分もTwitterを使うけれど、たとえば「これから乾杯です!」とか、実況中継しているようなつぶやきは全く理解できない。その場を楽しめよっ、って思ってしまうし、なんだかつぶやくためにイベントに参加しているようで、本末転倒のような印象がぬぐえない。これは確かにブログが広まってきた初期にも感じたこと。イベントに参加してもブログにアップするための写真ばかり取っていたりする人がいたりとか...これが「世代ギャップ」なんだろうかね...って年齢を感じてしまうねえ。
そういった事例とか実態を、学生たちの行動集計を元に語っていただいています。...が、正直、それを知って、「で?」という感じ。彼らの「生態」を知ることはマイナスではないけれど、自分の考え方を変えるつもりはないし...「ネットあたりまえ」世代を対象にした商売をしているのなら有効かもね。でも個人ベースで考えたら、やっぱり「で?」という域をでませんねー。
「鳴り物入り」で登場したセカンドライフや、昔から「未来」の象徴でもあった、テレビ電話など、イマイチ普及速度が遅い(あるいは消えていった)ツールが、なぜそういう運命をたどったか、という分析は面白いです。携帯電話の(携帯デバイスとしての)急速な普及、コミュニティの普及、などなどその要因と考えられるものの分析は、さすが「大学教授」です。
「つながり」というテーマではありますが、技術者先生らしくツール、デバイスのほうに偏りすぎで、肝心の「人」という視点が少ないです。むしろ「人」だけに焦点があたっている方が、このタイトルに適していますし、読むほうも参考にできる範囲が広い。「若者」x「ツール」の話だけでは、やっぱり、「で?」です。

【ことば】肝心なことは人と人とがつながることだ。

その通りですね。ツールに「使われて」しまっては意味がない。若者はどうかわかりませんが、あくまで「リアル」を補完するものがツールである、と信じます。

つながり進化論―ネット世代はなぜリア充を求めるのか (中公新書)

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