2011/06/24

小宮さんは「いつもの」がいいですねー

成功する上司
成功する上司
  • 発売日: 2006/03/30
『成功する上司』小宮一慶⑩
[15/118]Library
Amazon ★★★★☆
K-amazon ★★☆☆☆

小宮さんの本も10冊目。確か著者ご本人が「100冊」の執筆を目標にされていたかと思うので、1割は読んでいる、ということですねー。経営コンサルタントをされていて、コンサルタント故の「距離感」は感じることもあるんだけど、ビジネスにおける一番大事なことは「お客様」であって、正しいことをしていればお金(収益、利益)は後からついてくる、っていう考えをお持ちの方(だと信じる)なので、その姿勢が貫かれている著作は、結構面白い、というのがイメージです。その軸がぶれないので、テクニック教えます的なテーマでも、他の同様の本よりも印象に残ります。
さて、本書ですが、もちろんその「軸」はぶれていないのですが、「物語」という構成になっています。買収先の事業部長に着任した40歳の「できるタイプ」が、本籍である企業との「風土の違い」に苦しみながら、少しずつ、社員を社風を変えていく、というストーリー。 要所要所に「解説」も入っています。が...
おもしろくない。読みものとしておもしろくないんだよなあ。「あの」小宮さんが、なぜこのような形態の本をお書きになったのかもわからない。よほど、従来の「ビジネス書」のタイプのほうが読みやすいです。入りやすいし、残りやすい。テーマはチームビルディングであったり、仕事に対する姿勢であったり、モチベーションであったり、と自分にも近しいものなのですが、「主人公」が悩み、相談し、失敗しながら、時に起こる事件も乗り越えて...という話なのですが、「入って」きません。なんでなんだろう?著者は「誰に」向けてこの本をお書きになったのか、そこが不明瞭なのかも。ありえないと思いますが、「もしドラ」的な発想だとしたら...万が一そうだったら方向違いですね。
小宮さんの本に期待するのはそこではありません。よく言われているような時間管理だったり、リーダー論だったりも、小宮さんが「お客様第一」で自らの言葉で語られるから、読んでいる自分に入ってくるんですよね。そして自分に「置き換え」てみようという気持ちになれる。残念ですが、物語の主人公を介してしまうと、主人公に対して「置き換え」という気持ちにはなれませんでした。
すでに(良くも悪くも)「形」ができている組織に、それも「上」から入っていくのは、かなりのエネルギー。そしてそこを「変える」ためには、相当のパワーが必要です。本書のテーマにあるような、自分を認めてくれない、考えを浸透させたい、部下が自発的に動かない、等々、非常に身近なテーマとして、自分もつい最近に経験したことです。本書の結論の一部でもありますけれど、これには「自分が真摯に実行する、継続する」ことが一番大切ですね。上司として認められたい、とか本質からずれたものを見据えると失敗するんでしょうね。中で紹介されたいた『独裁すれども独断せず』=衆知を集めて情報を得て決断し(独断せず)、決断した後は徹底して実行する(独裁)、これ、大事ですねえ。

【ことば】...『情報』という言葉は『情けに報いる』と書く...

営業の心得という点で出てきた言葉ですが、お客様の信頼を得てお客様の情報を得る。それに基づいてお客様に良い情報を提供する、という内容です。つまり、信頼をベースにしていただいた「情け」に「報いる」ことが重要。逆の流れもありますね。「情報」は一方通行ではダメなのです。

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