2011/06/22

もやもや感が抜けない...

『遠足型消費の時代』中沢明子、古市憲寿
[14/117]Libary
Amazon ★★★★☆
K-amazon ★★★☆☆

日常生活から地続きの「非日常」へ、世間に対する意識から限られたコミュニティへの意識へ。そんな意識の変化、それに伴う消費行動の変化を、「海外旅行型」に対して、「遠足型」と称している。その中で、コストコやルクエの成功例を引き合いに、「キラキラ」をキーワードに、デフレ時代のマーケティングを語る...というのが本書の内容。
出だしの、「これをしらない方は『お父さん』と呼びます」で、今(?)流行の商品、サービスを10個あげているが、自分は2つしか知らなかった...一応仕事では「マーケティング」を意識しているつもりでしたが、見ているはずなのに「見ていない」ものがたくさんあるんですね...まあ、意識のどこかでは、「ディーン&デルーカ」なんて知らなくても別にいいやっ、って思ってしまっているんですけれど(←これが、「お父さん」である証明ですかね)。
著者自身の優しさから、「今はわからなくてもいいんですよ。最後まで読めばわかりますから」って繰り返し説明いただいた「きらきら」ですが、これが現代の消費、というか「売れている」大きな要因であるということです。これが何か?っていうのは、なんとなくはつかめるんだけど、前から意識はあったんだけど、読み終わっても「もやもや」は残ったままです、残念ながら...それを持っていることの優位性?それが自分もものであることの優越感?それを知っていることの特異性?どれもあてはなるようで正解がわかりません。確かに、価格でも、費用対効果でも、デザインだけでもない、「何か」が、売れているものに共通する何かがあるようです。精神的なものを持ち出すのは(マーケティングに携わる者としては)反則かもしれませんが、その商品、サービスを世に送り出す関係者全員の「思い」なような気がします...(「全員」というところが自分なりのこだわりです)それを言っては...ってありますけれどね。
「デフレ時代だから売れない」というのは、売れない理由を「外」に置換しているだけで、そこから発展するきっかけがない、というのは著者に同意です。売れているものは現実にあるし、景気で売れるんだったら、自分たちの存在の意味がありません。「共感」というキーワードも、なんとなくは同意ですが、これは深い言葉で、また誰もが理解しているが形にするには...という点が苦労しているポイントかと思います。これを越えられないと、だよねえ。
それらの共感できるキーワードは読みとれたんですが、というか、これまでもアタマの中には入っていた。これを整理しなきゃいけないし、整理した後は形にしていくことが必要なんだけど、本書は、その「整理」のきっかけ、というよりは、「マーケットはこうなんだよ」っていう段階のものであるようです。一応わかってはいるつもりのことでした。そこから先、なんだよねー、ヒントが欲しいのは。って、本の中でそれを求めても無理があるんでしょうなあ。

【ことば】「共感マーケティング」というと...すべての人の「共感」を尊重するイメージを思い浮かべてしまいますが、それは違います。...重要なのは、いかに「感度の良い人」を囲い込めるかという点...

これは「やられた」感です。「共感」キーワードを意識すると結果「最大公約数」になって、結局焦点が絞り込めない。なんど同じことをしたことか....一部の「感度の良い人」の情報に、そのフォロワーが後追いで共感する。これは盲点だったかも。

遠足型消費の時代 なぜ妻はコストコに行きたがるのか? (朝日新書)

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