2011/06/13

重い...けれど考える点がたくさんあります

あきらめない (集英社文庫)
あきらめない (集英社文庫)
  • 発売日: 2006/05/19
『あきらめない』鎌田實
[8/111]BookOff
Amazon ★★★★☆
K-amazon ★★★★☆

余命わずか、と宣告された方々が「あきらめない」姿勢で、「生」を全うする姿、そのご本人のみならず、周りでサポートする方々の姿勢、医療の本質を追究する著者率いる病院の先生方...けして軽い話題ではありません。自分にとっても、自分自身がその「対象年齢」に入りつつあることや、自分の両親に対して、「そうなったら」どうするか、ということが、現実感を伴ってきています。そんな中、非常に考えさせられる内容でした。
もちろんタイトルにあるように「あきらめない」姿勢は必要だと思います。が、 治療を施す医者側と、頼るしかない患者側での圧倒的な情報、知識の差もあります。これまでは「苦しむくらいなら...」という考えも少なからず持ってはいましたが、この考え方は結構「ヒトゴト」です。自分が、あるいは自分の周りにそういう事態が発生した時に、はたしてその「考え方」を貫けるのか。そもそも貫く必要はあるのか。必ず迎える「死」に対して、どのような姿勢を持ってくべきなのか。答えの出ない質問がアタマの中を埋めます。幸いにも、今のところそういう事態は周りにはありません。が、時間をおいて会う両親に対しては、毎日会う新しい命=子供たちのそれとはまったく違う流れがあることは避けようのない事実です。子供たちに対しては親として、両親に対しては息子として、自分がどのようにあるべきか、ホントに考えます。
いつまでも今のままではない。そんなことはわかっているけれど、いつまでも今のままで「あってほしい」気持ちに負けている自分がいます。時間はそれをいつまでも許しているわけではない、ということが、40を過ぎたあたりから切実に感じる機会が多くなってきました。
ひとつできることは、「今」を大事に生きること。後悔したくないし、後悔させたくない。この本に紹介されているような「あきらめない」姿勢をとれる方々は、それまでの間に、後悔しない生き方をされてきた、あるいはそれに挑戦し続けてきたのでしょう。そのためには、自分一人で生きているわけではないし、周りでサポートしていただける人たちと共に、楽しく、前向きに生きる、このことではないかと思います。そして、大事なことは「後で」ではなくて今行動すること。感謝の気持ちは、やはり「その時」に伝えないといけない、とつくづく...両親に対してもそうですよね。勇気は要るのですが、「言葉で言わなくても」という考え方は、少し脇においておくことにして、伝えたいことは伝えようと思います。
病気とあきらめずに闘う皆さんに共通するのは「愛」かもしれません。著者も「愛」を貫いて、治療にあたっていらっしゃる姿が感じられます。この世に生を受けたイキモノとして、人間としてあるべき姿、それを感じることが大切ですね。

【ことば】...八十歳ぐらいの老ライダーと路上ですれ違った...「まるで少年のようだ」と...声をかけた。老ライダーは答えた。「少年になるまでに八十年もかかってしまった」

めちゃ、かっこいいです。自分の中に「少年」はいるのか?限りなく小さくなってしまっていないか。バイクの趣味はないけれど、八十の時にこんなセリフを言える、そんな人生を送りたい。

あきらめない (集英社文庫)

0 件のコメント:

コメントを投稿

Twitter