2011/04/21

壁。しかも高いやつ。

『日本が「神の国だった時代』入江曜子
[15/80]bk1
Amazon ★★★★☆
K-amazon ★★☆☆☆

もうかなり前の話だが、某首相が発言した「神の国」、それをきっかけとして書かれた本。内容は、戦争直前から戦中にかけて、小学校での教育、教科書が、どのように子供たちを「洗脳」していったか...という、「未知」の世界。まさにその時代に小学生だった著者がなまなましい「実物」を使いながら描く。確かなんかの本に紹介されていたのを見て読んでみる気になったんだけど、まったく歯がたちませんでした。自分の国でありながらその方面について無知であることが最大の理由ではあるが、内容がほぼアタマに入ってこない。ただ、繰り返されるその「洗脳」のすごさに圧倒されたのは確かで、ある意味「体験」にはなったかも、だ。
今からそう昔でもないのに、こんな時代があったんだ...と異次元に思えてしまうほど、フィクションではないかと思えてしまうほどの世界。かの戦争を知らない、というか、たとえば「江戸時代」と一緒に「歴史の史実」としかとらえることのできない世代には強烈ではあるけれども、現実的ではないのも、一方では事実。おそらくこの本に書かれている以上に、(振り返って書かれた本は冷静だけども、「その時」は、それが当たり前だったと考えると、もっと強烈)現実は「統制」されていたのだろう。今の中国なども、天皇制とは異なるけれども「統制」は敷いているけれども、「外部」の情報ネットワークには勝てない。その時代の日本はその「外部」すらなかったのだから...想像を超えている。そう、超えちゃっているのでなにもわかりません、お手上げ。
日本人であることを誇りに思っている、あるいは日本の文化を誇りに思っている自分だが、この「史実」を読んで、「この国(民)の本質的にもっているものは果たして...」と思う気持ちと、「この時代から数十年でこれだけ変わってきた、時代を作った日本はやっぱりすごい」と思う気持ちの、ないまぜ状態。この史実に目をつむっていてはいけない、と思う気持ち、それだけは確かだけど。

【ことば】過去を知ろうとしないことを正当化してアジアと関わるのは、...罪であると思う。

「正当化」はしてませんが、知ろうとしないで関わろうとしておりました...ごめんなさい。「過去のことは振り返らないで前を向いて...」というフレーズは、まず「過去」をしらなければいけない。その通りです。

日本が「神の国」だった時代―国民学校の教科書をよむ (岩波新書)

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