2011/04/03

やわらかい、あたたかい「随筆」です

わたしの流儀 (新潮文庫)
わたしの流儀 (新潮文庫)
  • 発売日: 2001/04
『わたしの流儀』吉村昭
[2/67]Library
Amazon ★★★★☆
K-amazon ★★★☆☆

すでに失念してしまいましたが、どなたかのブログか、どなたかの本の中で紹介されていたものです。吉村昭さんという作家は正直知らず、その小説も読んだことはありません...時代モノですかね?おそらくその著者のファンが、小説ではなくこの私生活、私的な事柄をつづった本書(そーゆーのを「随筆」っていうんですね...)を読むと、また異なる味わいがあるかと思います。自分はなにせ前知識なしにいきなり「随筆」なので、「通常に書かれる小説」とのギャップを感じることはできませんが、この本を読む限りで言えば、「あたたかい」作品なのではないかと思われます。それは著者自身が醸し出す空気からそのように想像するだけですが...
この本の中では、小説を書くことから始まり、人との出会い、趣味の酒肴、旅行、そして最後に人生と、ある意味「重い」話題も含めて、あたたかく短く、伝わりやす言葉で書かれています。著者が見たこと感じたこと、考えたこと受けたこと、それを丁寧な言葉で伝えてくれています。一見、「言葉」を生業としている人が短いコラムを小さくまとめている、風ですが、そこには「昔」の風景、そして変わらない、人のやさしさや温かさ、それ(変わらないこと)を大事にする人(著者自身を含む)が描かれており、全編通して読むと、ひとつの物語、世界になっていることが感じられる。そんなあまり得たことのない世界です。少なくとも短期的な「利益」(金銭的な、あるいは精神的な)を求めるための本とはまったく違う世界に存在します。
こういう世界も「あり」だなあ、と感じましたね。うまく表現できませんが、「あたたかい」感じです。もっといえば「ゆるい」「ゆったりした」感じなんですが、言葉にするとちょっとネガティブになるね、難しい。

【ことば】子供がしっかりしているのは母親が立派だからだ、...夫は何をなすべきか。育児につとめる妻に感謝の念をいだき、ゆとりをもって妻が育児に専念する環境を生み出すよう努めるべき...
おっしゃる通りです。同じことをすべき、ではなくて立場を考慮して行動すべき、責任を持つべきですね。

わたしの流儀 (新潮文庫)

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