- 新しい道徳 (ちくまプリマー新書)
- 発売日: 2007/12
[17]
Amazon ★★★★☆
K-amazon ★★★☆☆
民間初の公立中校長、「よのなか」科が話題に...などなど、その「改革」が目だって伝えられてくる著者だが、その著書をはじめて読んで、けして「話題つくり」の人ではなく、強固な「筋」が通っている、ぶれない「軸」を持っている方だと確信できました。こういう人が教育現場でリーダーとして活動し、いろいろなアイデアを実現していくのは、何かが変化(よいほうに)するきっかけになるであろうと。そしてそれを受け入れた「公の機関」は、その「変化」を起こすのにおそらく障壁は高かったと思われる。「オオヤケ」=保守的で新しいものを拒絶する、というイメージが強いもんですから...
子供たちがこれからでていこうとする社会は、「ひとつの答え」を見つける場所ではない。「マルツケ」が存在しない、解答ページは存在しないのだ。自ら解答を作り出し、またそれが「正答」であることを自ら感じ取ることが必要になる。そこにあるのは「自分たちで考えて納得した答え=納得解」である、著者は説く。○か×か。もちろんそういう「知識」も必要で、それが土台にあって「納得解」を求めるステージに進めるのだから、「義務教育」年齢についてはそういう基礎固めは必要だよね。でも、確かに中学生くらいなるころから「社会」というものへ、その身につけた「基礎」をどうアジャストしていくのか、そういう意識は必要だろう。社会って、「○か×か」なんて問題は出ないからね。
いろいろな考え方をするべきであり、そもそも「いろいろな考え方をする人たちが存在する」ということを理解しなくちゃいけない。著者が提唱する、「親と子、教師と生徒、という『縦』、友達という『横』、それ以外に、直接関係のない地域の人たち=『ナナメ』が必要」というのは言い得ているんじゃないかな(その手法として学校をそのハブとして開放する、というのは全面賛成ではないけれど)。実は「社会」でもその考えって必要だと思う。社会では『縦』が強いと思うけれど、『ナナメ』の人間関係を持っているかどうかって、結構重要だと。これは自分の実感ですけど。
教育についての話が中心の本だけれども、前述のとおり「軸」「筋」が1本通っているので、読んでいて気持ちがよいです。最後までイッキに読める。しかも「正しい」、と思う。「教育」って大変だよね。でもこういう先生だと「真剣」に取り組んでくれるんじゃないかと思う。安心できる。大事な「宝」である子供たちだから。
新しい道徳 (ちくまプリマー新書)
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