2011/01/26

リアルで面白いが、現場は大変だろうな...

マネー・ボール 奇跡のチームをつくった男
マネー・ボール 奇跡のチームをつくった男
  • 発売日: 2004/03/18
『マネーボール』マイケル・ルイス
[14]Library
Amazon ★★★★☆
K-amazon ★★★☆☆

メジャーリーグ・アスレチックスのGMの「成功秘話」である。資金の無い球団が勝ちあがるために何をしてきたか、という内容だが、所謂「ビジネス書」ではない。野球に関する評価軸を独自のものとする。つまり一般的な打率だの防御率だの、ではなく、ましてや「主観的」な見方ではなく、たとえば「出塁率」に重きを置く、とか。つまりは「アウトにならない確率」が高い打者が有用だという見方を。一般的なメジャーリーグのイメージからは正反対だが、「四球」を選べる眼をもった打者を取る。そういう「客観的な」評価軸をどうやってもつに至ったか、そしてそれを以て成功したのかしないのか(つまり勝ったかどうか)、というのがひとつのストーリー。そしてもう一つが、そういう選手を以下に「効率よく」獲得して、効率よく放出するか、という「ビジネス」の部分。このGMは「チーム構成」という枠のみならずゲームの戦術についても、選手はおろか監督までも締めつける。これがいいのかどうかはわからないが、現実として、結果としてチームは快進撃を続ける。
表面的に数字に表れるものだけではなくて、根本的な本質的な指標を見つけ、それを軸として徹底する、というのは面白い。それに追随する他チームが現れないうちは、このチームの快進撃は続くかもしれない。しかしながら、「テクニック」部分、つまり「本質をもちながら表面に現れていない」埋もれている選手を探して、(ここからです)「安く買って」、数年後の放出時に「高く売る」という内容が、ともすればあまりに「ビジネス」であり、ドライすぎる感じはするね。GMにとっては、これも投資、ゲームであるにすぎない。人間がプレーをする、という点が少し希薄な感じ。そこまで徹底している、ということでもあるんだけど、「日本的」ではないし、野球というゲームを見ている「お金を払う人=観客」がどう見るか、という点が気がかり。「勝てばOK」であれば、NYの球団のように「金」を軸にするのと変わらないとは思うけれども。
それほどのメジャーリーグファンではないし、日本人プレーヤーが所属するか、ユニフォームのデザインが好きか、というレベルの自分としては、スーパースター以外の選手(それも含めて、だけど)と所属球団が結び付かない、という現実にどうも疑問が。出たり入ったり、というのは、どうも自分のような「古い日本人」には抵抗が少なからずあり...
読み物としては非常に面白い。「海の向こう」と考えれば「ヒトゴト」だし。でも、思いついたのは、「岩隈は確かアスレチックスにやられたんじゃ...」ということ...なんとなく合点。

マネー・ボール 奇跡のチームをつくった男

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