2011/01/16

伝わります。「熱さ」は伝わってきます。

反骨心 (角川oneテーマ21 A 103)
反骨心 (角川oneテーマ21 A 103)
  • 発売日: 2009/08/10
『反骨心』清原和博
[9]BookOff
Amazon ★★★☆☆
K-amazon ★★★☆☆

松井、田口、古田...多分プロ野球選手が書く本を読むのは4人目。清原は同世代、同い年で、高校からプロ入団、引退までイチファンとしてみてきた選手で、思い入れも他に比べても高い選手だ。本人も本書の中で書かれているれども、「天賦の才能」に乗っかったところは少なからずあり、所謂「努力系」のストーリーではない。「天賦の才能」を持ったが故の、若い頃の(ある意味での)おごり、そしてそれに付随しての「周り」とのズレおよびそれに伴う「挫折」、それらの克服...ということが書かれている。
一言で印象を言えば、「不器用」な選手だと思う。もちろんプロの世界で第一人者になる素養は十分もっていたと思うが、それが必ずしも叶わず、すぐ「次」の世代(イチローや松坂世代)が活躍し、そしてその「新しい世代」は、「スマート」というキーワードが似合うような「アスリート」であったことが、清原世代の「終焉」を早めてしまったのかもしれない。それらの世代の台頭後は、ケガとの戦いのみを印象に残し、記録的なものはプロ入団当初のものが最大最高だったりする。
けれども、ね。年に数回しか球場に行かない、あるいはテレビも見ない、という「観客」からすると、グランドでテレビ画面で見たいのは、スマートな若手ではなく、無骨な清原だったりしたわけだ。球場に行って途中で帰ろうと思っても、「清原の打席までは」とどまったりする。記録がどうであれ、「観たい」のだ。これが「プロ」なんだよね。お金払ってそのパフォーマンスを見る。それがイコール「プロフェッショナル」なんだよね。当たり前なんだけど、年俸交渉とかで、数億円を要求している「名前をしらない」選手を見るたび、「プロ」のあり方、っていうのを考えてしまうね。
そういう意味では、もう数えるほどになってしまった「プロ」であり続けたのが、この清原なんだね。そんな「野球バカ」に、本が書けるのか、って、正直読む前はそのクリエイティブに期待はしていなかったんだけど、予想に反して、その「熱さ」が伝わってくる、いい内容でしたよ。熱かった。「器用」な感じはもちろんしませんけど。でも「不器用」がすなわち彼の魅力なんで、それはそれでよかったのかと。
詳しくは書きませんが、「巨人」というチームは、あまりにも「幼稚」だわね。清原はよく耐えたと思う。にわかには信じられないような選手の扱いをする。そんな考えをする人がいる球界では、ジリ貧は避けられないね。清原世代がどのように変えていくのか。それを見ていきたい。彼がその「無骨」を発揮する場面は、まだ終わっていない。

反骨心 (角川oneテーマ21 A 103)

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