2011/01/27

こういう経済「学」なら面白い

『競争と公平感』大竹文雄
[15]bk1
Amazon ★★★★☆
K-amazon ★★★☆☆

「週刊ダイヤモンド」2010年<ベスト経済書>第1位...知らんかった、評判の本は読まねばっ...という動機付けで読み始め。そういえば「経済学部卒」であった自分だけれども、「経済学」はとっつきにくい。現実の世界との乖離が非常に大きい分野ではないかと感じられれるから。最近は「行動経済学」など、「経済人」という前提から組み直すような「論」が結構でてきているけどね。あと、経済「学」の本は、非常に読むのに苦痛なんだ。なんとなく「読む人に理解しやすく」という観点が抜けてる(最初からないのかも)感じがして。
故、「ベストセラー」で飛びついたものの、「経済書」という帯で表紙を開く時点から少々イヤな予感も。けれども、内容は非常にタイムリーで、例示もわかりやすく、現実的で、スンナリ受け入れられるものでした。格差の問題、市場経済、政府の役割、派遣・外国人労働者...等々、ニュースや新聞では目にするけれども、普段はあまり興味を引かない(見ない、読まない)分野の基礎的な考え方は理解できた気がする。著者の立場としての「提言」も含まれている(その提言内容がいいのか悪いのか、そこまで判断出来るほどには、まだ自分のレベルが追いついていないけれど)。
池上さんほどではないにしても、「経済学」って、こういう考え方だし、本質的にはこういうことのための学問なんだよ、っていうのが「なんとなく」伝わってくる。「なんとなく」だけれども、本を読む前の「受け付けない」レベルからは大躍進だと(自分では)思う。「中公新書の経済書」という、これだけでも高いハードルの本を、イッキに読めてしまったことからも、内容や書き方の素晴らしさは実感できる。
ただ、極めて個人的なレベルですけれども、本を読む=そこから「次」につながるヒントを得る、ということを「成果点」としている自分からすると、その「成果点」が見つけにくい。この本の内容ではなくて、そもそも分野がマッチしていないのだけれども。この分野の本を1冊読み切れた、ということを成果点と捉えます、今は。

競争と公平感―市場経済の本当のメリット (中公新書)

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