2012/06/24

古代のロマン...知的好奇心を刺激します


『ツタンカーメンと古代エジプト王朝』近藤二郎
[14/111]
Amazon ★★☆☆☆
K-amazon ★★★☆☆

ピラミッド、スフィンクス、ロゼッタストーンに壁画。紀元前の時代に、3000年も続いたエジプト王朝の実態に迫ります。なにせその圧倒的な歴史の重さと、キリスト誕生後現在までの時間よりも長い古代エジプト王朝時代。ケタはずれのスケールに圧倒されまくります。

エジプト王朝に関する知識が乏しくても知っているのが「ツタンカーメン」「クレオパトラ」という名前でしょう。本書も「ツタンカーメン」という王名がタイトルに含まれます。が、本書を読む限りは、それほどツタンカーメンの記述が多くはありません。他の王と同等で数コラムの登場に過ぎず。若干マーケティング的な要素なのか...そのあたりが少々残念な。

とにかく紀元前の話しです。不明な点や、まだまだ発見されていないものがたくさんあるのでしょう。当時のエジプトの人たちの生活、というのがある程度記述されているのですが、どこまで真実か、というのは別として、それだけ古代エジプトの魅力に取りつかれて調査を進めている学者、研究者が多い、ということだと思われます。

王様が存在する、ってことは階級があるということ。階級があるということは富があるということ。当時日本では「縄文時代」であったことを考えると、既に比較にならないほど進んだ社会があったようです。もちろん「ナイルのたまもの」という言葉に表されるように、土地自体の環境が恵まれた部分はあったにしても、まるで近代社会のような仕組み(階級、支配)が既に組みたてられていたことに驚きを隠せません。

さらには、名前だけは知っている英雄「アレキサンダー大王」が、広い世界を制圧、支配した、ってことは知っていたけれど、エジプト王として君臨したというのは知らなかった、とかピラミッドの種類や場所から推測される、その建設のホントの理由、どれも魅力的な項目です。
 
スケールが異なりますが、王の世襲や次のポストを狙うための内部闘争、領土拡大のための争い、そしてピラミッドが王の墓である、という説が正しいとすれば、日本の古墳との考えと近いような感覚、わが国日本と、紀元前の古代エジプトに似た点があるというのも、なんだかエキサイティング。エジプト史はあまりに長いのとあまりに古いので、表面的、教科書的な書き方になってしまうのではしょうがないんだが...もう少しドラマチックの方が読みやすいよなあ。

【ことば】ほとんど未発掘のまま3500年も保持されていたとなると、まさに奇跡としかいいようがない。ツタンカーメン王墓には、どのような仕掛けがあったというのか。

王としての実績はそれほどでみない、と言われるツタンカーメンだが、その王墓がほとんど未盗掘であるというのは奇跡的だという。実はその盗まれない仕組みが施されているわけではなく、王墓を発掘しようとした関係者が謎の死と遂げる「ファラオの呪い」など、非科学的な言われが、魅力をさらに増しているのだろう。

知れば知るほど面白い ツタンカーメンと古代エジプト王朝 (じっぴコンパクト新書)


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