- 梅棹忠夫のことば
- 発売日: 2011/03/16
『梅棹忠夫のことば』小長谷有紀
[16/113]Library
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K-amazon ★★★☆☆
梅棹忠夫さんの、『知的生産の技術』を読んで、その先見性に驚き、その考えの深さに尊敬の念のもち、その勉強法に感銘を受けた。30年40年前から、「情報社会」の到来を見抜き、「グローバリゼーション」の感覚を持っていた。まだ2冊しか読んでいないけれど、その圧倒的な「知的生産」への取り組みに高く尊敬しております。
その梅棹先生の「ことば」と、現代から見ての解説を付して構成されています。著述や講演でお話された内容を見ても、師の奥深さが胸に沁み入る感覚が持てる。むしろ「現代の解説」がおまけのように感じられるほど、その「ことば」は深いものがあるのです。
いくつかテーマ分けされており、右ページに梅棹先生の「ことば」、左ページに「解説」なのですが、1ページに収まるように、師のことばが選ばれているので、少々「断片的」に感じられるのが残念なところ。その深みは、やはり1冊の先生ご自身の著を以て、より深く感じられるものがあるので、1ページ分の「ことば」だけ抜いて解説するにはやはり無理があるような。
知識を得るための方法(有名な「カード」です)、「思想は論じるものではなく使うもの」と断言する歯切れ良さ( 1950年代の発言ですよ)、「現代は情報産業の時代」とする先見の眼(1960年代に、です)、日本の蓄積された情報、文化は、もっと「輸出」されるべき、とする国際性。いずれも、「今」21世紀の世を梅棹先生の言葉は鋭く指摘され、そしてわかっていながらまだ十分機能できていない社会がここにある。
おそらく50年代60年代にこのような考えを発表された当時は、なかなか受け入れられなかった事情もあろうと思う。「そんな時代によくも未来を捉えられたなあ」という驚きのみならず、今この時代における発言としても、十分刺激的であり、今を生きる人間の指針になり得るものばかりである。
2010年に逝去されたことに伴って開催された「ウメサオタダオ展」に沿うカタチでの本書の構成なのだろうと思う。師の軌跡をざっと振り返るにはいいのかもしれないけれど、表面的に理解するのではやはりもったいない。改めて梅棹忠夫自身の著作を読んでみようと思う。それはけして「古い」ものでない、スタンダードであるのだから。
【ことば】...連続してなにかある究極の目的につながるものである必要はまったくないのだ。そのときそのときに、全身全霊をあげてあそぶだけのことである。
有用性や有益性、効率を考えるだけでなく、「あそぶ」ように真剣になれるものをやる。合理的な説明はいらない。真剣であれば、きっと何かにつながるのだ。生きていくのに無駄なことなんて何もない。
梅棹忠夫のことば
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「アタマの引き出し」は生きるチカラだ!
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