2012/06/13

将軍も人間。歴史書では見えないキャラ全開。


『TOKUGAWA15』堀口茉純
[8/105]Library
Amazon ★★★★☆
K-amazon ★★★☆☆

江戸文化歴史検定1級最年少合格者の「歴女」が語る徳川将軍。教科書などどこかで見たことのある史実、それよりも将軍一人ひとりのキャラクター、エピソード、そして次期将軍をめぐる駆け引きなどに焦点を当てている、「珍しい」歴史の本です。
徳川将軍が15代だったことを知っていても、名前がでてくるのは3,4人だったりする。知らないことが多いんですね。試験に出ないから知らなくても良かったんだけれど、10歳に満たない将軍とか、身体に障害を持っていた将軍とか、「徳川」の系譜を眺めるだけでは見えてこない裏側を知ることは、とても興味深いことです。これまで知らなくて損していた感じすらしてきます。
今の首相と比べて(比較するものではないけれど)各将軍の在任期間はかなり長いのだが、今と同じなのは、「次期ポスト」獲得に暗躍する「戦略家」たち。原則は直系の長男が継ぐものなのだけれど、それが叶わない場合のために作られた「御三家」、ポスト争いは激化していきます。後継者とめされていた者が若くして死亡するなど、現代では感覚がわからない流れも少なくなかったようだが、もしかしたら暗殺のようなこともあったのかもしれない。徳川中期あたりからは力を持った側近、実質的なトップに君臨する徳川家以外の者がその後継争いにも力を貸したり、政略結婚などは特に珍しいものではなかったようだ。
それだけ将軍職が「お家」の都合としては重要だったわけだが、俯瞰してみれば、そこに力を注げるくらいに、江戸時代が「平和」だったのかもしれない。もちろん、庶民の苦しさはあったのだろうけれど、将軍家のいざこざなど無関係で日々過ごしていたのだろう。「政治」はつまり、庶民が関与する幅が大きい方がよいのではなく、政治に関心がなくなるくらいに「平和」な方が、庶民にとってはいい政治なのかもしれない。
本書は「現役世代」にも読みやすい構成で、イラスト、4コママンガなど、幅広く興味関心を持てる。歴史嫌いでも入りやすいと思う。ただ、徳川将軍を15代、順々に追っていくので(歴史の本は、あたりまえだけど時間列だ)一気に読み切る、というよりは、区切り区切り、となってしまった。頑張って読む、というよりは、興味のある将軍から一人ひとり、という読み方でもよいかと思う。有名無名に限らず(失礼か...)それぞれ個性的なキャラ、楽しめます。

【ことば】"徳川○代将軍"というと、なんだか非常に縁遠い世界の人たちのように感じられてしまいますが...じつに個性的で...愛すべき普通の人間だったんだということがわかりました。
 
まさに、「記号」としか思えていなかった「歴代将軍」が、人間のカタチを持って登場してきます。当たり前だけれど、能力のある人もない人も、トップの立場としての苦労や、逆に慢心もあった、ということがイキイキと感じられます。「愛すべき」かどうかは不明ですが...

TOKUGAWA 15(フィフティーン) 徳川将軍15人の歴史がDEEPにわかる本


  >> 本書の感想文、見つけました!いろいろな意見、読み方があってもいいですよね <<


Book experience, 3 reasons.
akamac book review

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