2012/06/07

「復刻版」...いやいや「今」通用する教科書です


『新版 小予算で優良顧客をつかむ方法』神田昌典②
[6/103]Library
Amazon ★★★☆☆
K-amazon ★★★☆☆

マーケッター神田さんの原点との言える本書。1998年に出された物として読むとかなり衝撃的です。現在ではある程度は「セオリー」と言われていることが書かれていますが、これを14年前に書かれていた、というのはかなり驚く。
商売の本質、広告代理店の「事情」、顧客との接点で使う「ことば」。特にその時点では「ブランド(イメージ)広告」しか存在しなかった時代に、「ダイレクトレスポンス」を提唱していたのです。ここに提唱される「ツーステップ」広告とか、広告の効果測定、プランドゥシーのサイクル、などなど、ここ数年ではマーケティング担当者には随分浸透しています。その浸透のきっかけが14年前のこの本だと思って読むと、著者の「クリエイティビティ」に完全に惹かれてしまいますね。心酔する人が多いのもうなづけます。
全般を通じて読むと、テクニック的な要素と、心理的な要素が絡み合って、少々「矛盾?」と思える箇所もなくはない。ただそこは著者本人が感じていることでもあり「マーケターのジレンマ」という言葉で表現されている。つまり「煽りたてるような言葉を使った刹那的な広告」=短期的な現実的な利益訴求=と、「想いのこもったメッセージ広告」=長期的な将来的な利益訴求=との間に揺れる、ということ。現場はいつもこの間を揺れているといってもいい。短期的なものを求められるのが現実だが、そればかりだと疲弊してしまうこともある。先を見越した活動に時間が割けなくなる危険もある。
特に通信販売事業に関しては、この本に書かれているような活動は他の業界に比べて比較的に実行してきていると思われる(それはこの業界に神田さんに導かれた担当者が少なくないからであろう)。そして「今、そしてこれから」を考えると「テクニック<コミュニケーション」という流れが見える。著者自身も最近の著書で言っているが、マーケティングも「新しい」フェーズに入っていく(既に?)のは間違いないと思われる。
そんなときに、この本は14年前の本は役立つのか?役立ちます、確実に。まず、商売の本質を見ること。当たり前だけどできていないことあります。「今月の数値」だけ追っていることも少なくないはず。そしてになによりも、この本に書かれたことを今までやってきたかどうか、の確認です。「これからのマーケティングは今までとは違うから」これは正しいように聞こえますが、「今まで」を正しく愚直にやってきた人だけが言える言葉なのです。見直してみると、抜けている部分、あるかもしれません。
この本を読んで、この通りに実行して、必ず成功するとはいえません。でも、この通りにやってみないと成功には近づけないんです。14年前だから...と言う前に、14年分を追いつくためにもまずここからやってみなければ、実にそう思った本でした。通信販売、直販をやっている、やろうとしている人は必読です。

【ことば】結果を上げることを重視すれば、理想を完全に忘れるし、目標が達成できれば、うまくいった現実に耽溺する。そして大失敗してはまり込んだ泥沼の中で、再び理想を抱く。

現実を棚にあげて理想を追うのは正しくない。現実に向き合うことで、そこでもがくことで理想はカタチをなしてくるのだと思う。現実の(苦しい)中から理想がおぼろげに見えてきたら、そこにむかって現実と戦う。そして理想=夢に一歩一歩近づいていく。


新版 小予算で優良顧客をつかむ方法 マーケティング常識11のウソ

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きゅーすけ日記。
ライトニング95のほぼ365日○○が好き!


2 件のコメント:

  1. セオリーがまだ確立されていなかった時代の本を読んで、その中に現代のセオリーを発見すると驚きますよね。
    しかも面白かったりしたら……すごいことです。

    たいがい昔の本にセオリーが入っていても、当時斬新だっただけで、現代っ子が読むとつまらなかったりするものです。
    それが今読んで勉強になったりすると、私はメモを取るのがはかどってしまって読書に集中できず、2度読むはめになっちゃいますね(笑)

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  2. 十分通用します。当時は「斬新」、今は「当然」になっていますが、その「当然」ができていないケースが少なくないと思われ...

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