- わたしたちに許された特別な時間の終わり
- 発売日: 2007/02/24
『わたしたちに許された特別な時間の終わり』岡田利規
[3/100]Library
Amazon ★★★☆☆
K-amazon ★★★☆☆
ひとつの文章が何行も続く、誰の発言(思い)だか分かりにくい...これが「純文学」だ、といえばそうなのでしょうが、最後まで読み切るのにエネルギーを必要としました。そもそもが、渋谷のラブホテルで、その日に出会った二人が5日間過ごす、という設定自体が空想的で現実感に乏しい。世代の違いなのかもしれないけれど、設定が「小説的」であるのと、そこに登場する人物が果たしてどこにいくのか、何をしたいのか、見つけるのがとても困難なのです。
ですが...途中で投げ出そうとは思わないのが不思議。ある程度、分からないなりに、ストーリーに引き込まれている自分もいます。タイトルにあるような「時間」というテーマが、掲載された二つの物語をつなぐテーマなのでしょう。これもはっきりわかりません。タイトルが詩的で引きつけられるものであるため、読者である自分がそれに結びつけたがっているのかもしれません。それだけのことかもしれない。
いつ始まって、いつ終わるかもわからない物語。展開される場所は「わたしたち」の周りにあるものの、時間と同じく、非日常感が漂う。けして「心地よい」ものではないけれど、なぜか惹かれる理由はなんだろうか。
「前衛的」という表現がいいのかもしれないが、とにかく「普通の小説」或いは「詩的な展開」と思って読み始めるとイタイメにあうかもしれない。こーゆー世界観がある、という日常の自分を越える必要が読者側にもあるような。
「非日常」を感じるような「時間」って、誰にでもあるのかもしれない。極めて感覚的なものだけれど、科学的ではないけれど、誰にでも訪れるその「時間」の感覚が、この本に引きつけられる理由かもしれません。大江健三郎賞受賞作。大江作品たくさん読んでいるわけではないけれど、なんとなく納得です。
著者は演劇に携わる方のようですが、おそらくその「演劇」も、見たとしたならば同じような感覚をもつのではないかなあ、と漠然と思います。
【ことば】そろそろ起き上がってみようとわたしは思った。このまま横になっているよりもそのほうが体がむしろ楽なような気が、ふいにしたのだった。
全てこの感覚でストーリー展開されていきます。自分をもちょっと俯瞰してみているような感覚。不思議な世界観ですが、拒絶するものではない。多分それは自分も(無意識に)そう感じているときがあるから(?)
わたしたちに許された特別な時間の終わり
>> 本書の感想文、見つけました!いろいろな意見、読み方があってもいいですよね <<
オリーブの林をぬけて。
読書百”篇”
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