2012/06/01

対象作品が輝きを増す「番外編」

世にも美しい数学入門 (ちくまプリマー新書)
世にも美しい数学入門 (ちくまプリマー新書)
  • 発売日: 2005/04/06

『世にも美しい数学入門』藤原正彦⑤、小川洋子③
[2/99]Library
Amazon ★★★★☆
K-amazon ★★★☆☆

読みました『博士が愛した数式』、博士=数学者と家政婦のやりとりが、非日常で面白かった記憶が。その後ご自身の著者の中で度々藤原氏がこの作品に触れているのを目にしているので、まだ記憶も鮮明です。小川氏が書いたこの作品、そのきっかけが数学者たる藤原氏であることから、お二人の「対談」が設定されて、本書はその「対談集」です。もちろんその作品にスポットがあてられるのと、数学者の「ヒトトナリ」に関する藤原氏の自論の展開、もちろん「美しい数学」がメインであります。
これまで藤原氏の本を4冊読んでいるけれど、『国家の品格』のように、どちらかといえば数学「以外」がメインテーマであるものばかり。もちろん作家としてのサラブレッドであるし、その歯切れのよい口調(文調)が自分の感覚とマッチして、どれも興味深い内容だった。それらに比較するわけではないが、当然に「数学者」でもあることは認識していたものの、本書で繰り広げられる「数学への熱い思い」は想像を超える「高熱」レベルであった。
数学に対して「美しさ」を求め、そこに「美」を見出す感覚。これはその魅力に取りつかれた人しかわからないのかもしれないが、なんとなく(数学が苦手な)自分にも、その「感覚」だけはわからなくもないのだ。「どんな三角形でも内角の和は変わらない。過去も未来も場所も関係なく同じである」なんというかスケールの違いというか、普遍性というか、「美しさ」を感じる、魅力に取りつかれる気持ちは、わかるんです。自分がそうなるとは思えないのだけれど、文学や美術、それらに惹かれる思いと似ているのかもしれない、と自分なりに思う。
あまり得意ではない「対談形式」の内容であるが、藤原氏の「熱さ」と、小川氏の数学の専門家ではないけれども少しその「美しさ」を感じているレベル、この二人が絶妙のコンビネーションで、数学の「美しさ」を奏でる。読んでいる方も、「美しさ」(の一部)を感じることができます。このお二人の著作、まだまだ読んでみたい、数学に限らずに。小川氏も「熱さ」は表面に出さないまでも、当然に相当の興味を持って書いたはずだから。それも「熱い」ことには変わらない。そんな人が書く本は面白いに決まっている。
ちなみに。「入門」とタイトルにはあるが、『博士の愛した数式』を読んで、その面白さに少しでも気がついた人の「入門」と捉えます。既に数学を愛している二人の対談なので、「超初心者」には向いていないかもしれません。

【ことば】人間には感激したいという深い欲求があり、それを満たしてくれるのは、美しい自然は別格として、数学や文学をはじめとする文化や芸術以外にあまりないですからね。

数学は「役に立たない」と断言する藤原先生。しかし「価値はある」とも。すぐに役に立つ、効率のよいもの、ことばかりだと、どんな世の中になっちゃうんだろう。それを追い求めてきた結果(経過?)が現代であるのならば、この先は(現代の言葉でいう)「無駄」に価値を認めてもいいのではないかな。っていうか、そういう時代に入っていく感じもする。

世にも美しい数学入門 (ちくまプリマー新書)


  >> 本書の感想文、見つけました!いろいろな意見、読み方があってもいいですよね <<


月のブログ
ハムリンの読書


0 件のコメント:

コメントを投稿

Twitter