- 心の野球―超効率的努力のススメ
- 発売日: 2010/06
『心の野球』桑田真澄
[15]Library
Amazon ★★★★☆
K-amazon ★★★★☆
同年代の人間として、桑田さんの高校時代からずーっと見てきました。甲子園での活躍、ドラフト、怪我、メジャー挑戦、清原との比較...正直、あまりいいイメージは持っていなかった。多分に、「アンチ巨人」であるから、という理由もあるが、メディアによってつくられた(?)「ダーティ」なイメージが抜けなくて...
どちらかというと、不器用な清原の方に親近感を抱いていました。そんな中で本書を読み始めたのですが...世間にどう言われようと、どんなイメージで語られようと、彼の「野球」に対する思いが変わらない、野球を究極まで愛する姿勢に感動します。
本書を読んで、桑田投手の本心を垣間見ても、やはり、受け入れられる人とそうではない人に二分されるような気がします。科学的な考え方は野球においても人間関係においてもそうであるし、一方で「(野球の)神」という考え方も相当強烈に持っています。
が、桑田さんの信念は強い。野球人として、自分はどうあるべきなのか、というのを、ある意味客観的にも見れています。本書にも書かれていますが、信頼できる指導者に師事したことも大きいのでしょう。その中には、ご自身の父親も含まれています。
あまり書かれていませんが、逆に信用できない「大人」にも多く接しているようで、この辺が「二分」されるキャラクターをつくっている所以でしょうか...でも、もはやそれを超越した桑田真澄の存在があるように思えます。
たび重なる怪我、故障を克服した投手は、指導者として野球界に携わるべきです。そこは彼の考え方もあって、野球界の発展のためには「指導者の育成」を第一にあげていますが、そういう考えに今まで出会ったことはありません。確かに「自らの力」でのしあがる世界なのでしょうが、始めて野球に接する機会や、そこから興味関心を持つこと、能力を伸ばしていくこと、これには「指導力」が問われると思われます。
以前のように、「根性」至上主義ではなくなっているのでしょうが、他の競技に比べると、まだその根は残っているように思えます。自分も幼いころに父親にグローブ、バットを買ってもらったこと、キャッチボールをしたことを鮮明に覚えています。他のことは薄れていますが、これだけは鮮明に。だからこそ、(技術的な「指導者」には成り得ませんが)自分の子どもとも「野球」をしたい。そんな思いは強く持っています。
勝利や、金銭を求めるのはある意味当然のことだと思いますが、それが先に立っては野球をすること本来の楽しさが薄れてしまいます。メジャー移籍で大金が動くのもニュースになりますが、それは野球のダイナミックさとはちょっと意味合いが異なる。
負けても得るものがある。日々の努力の積み重ねはどこかで必ず実を結ぶ。それを実践してきた桑田投手が語るものあるから、一層重みがあります。
なにより、自分の中に大切にしているものを、力強く持ち続けることの大切さを本書から得られました。同年代として負けられません。引退してから大学院で勉強した著者の「本気」を感じて、刺激をいただきました。
「熱い」読後感を得られます。
【ことば】...どんなことでも本物に触れてみる、経験する、自分の目で見るということに勝ることはない...
ワイン、小説、歌舞伎、文化、歴史...これをしたことで野球がうまくなることはないが、自分の人生を豊かにすることで、人間として成長することで、必ず野球に影響してくる。こんな考えを持っている野球選手がいたとは!感動です。そう、無駄なことは何一つない。「本物」に触れることは、極めて大事なことだと思います。
心の野球―超効率的努力のススメ
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