- 子どもに本を買ってあげる前に読む本―現代子どもの本事情
- 発売日: 2008/12
- 売上ランキング: 242427
『子どもに本を買ってあげる前に読む本』赤木かん子
[4]Library
Amazon ★★★★☆
K-amazon ★★★★☆
タイトルから単純に想像しました。「子どもに読ませる本を推薦する内容」だと。いい意味で、完全に裏切られましたね。そもそも大人視点で「読ませる」こと自体に、疑問を持たねばならなかった...
題名を忘れた本を探したりする“本の探偵”である著者。その後、学校の図書館の改装に携わっているらしい...すみません、今まで存じ上げませんでした。
その「本好き」が随所ににじみ出ています。そもそも学校の図書館にある本はつまらない、と言います。本の装丁や、活字、また図書館の在り方にも主張がある。それなりに本を読んでいる自分が、まったく気づかなかった、気づきもしなかった点がたくさんありました。
従来の固定観念(本に対しての)を持った大人への提言です。そして近年になって「本」自体が大きく変わってきていることを知りました。「古い」ものへの畏敬も抱きつつ、「新しい」流れを受け入れなければならない、そんな基本的なことがわかっていませんでしたね。
フォントひとつ取り上げても、「読みにくい」ものがあるんです。知らぬ間に「新しい」ものに慣れている自分たちは、無意識にも「古い」ままのものにちょっと抵抗を感じるんだけど、それは本自体の古さ、だけではないのだね。「古典」がびっくりするような装丁になっているのを本屋で見かけることもあるけれど、それによってその「古典」の価値が落ちるわけではない。「今の」子どもたちに手に取ってもらってナンボ、ということ。そのきっかけにすぎないんだよね。
まさに、自分にも、本が大好きな小学生と、ちょっとまだ苦手な幼稚園生がいます。小学生は学校の図書館でも、公立図書館でもたくさん本を借りて読みます。幼稚園生は、それに触発されず(されてほしいのだけれど)、マイペースで本を読みます。本を読む方は、知識と世界観が出来上がっています。それを見ていると、子どもに本を、というのは大事だなあといつも感じる。
同じように、本を押し付けていたのかもしれない。幼稚園生は、自分の好きなもの、をまだ見つけられていないだけかもしれない。「推薦図書」でなくともいいんだよね。本を読むことは楽しみ、であるのだから、「楽しい」と思うように環境を整えるだけでいいのかもしれない。
自分に置き換えてみたって、人から本を押し付けられるのはあまり好きではないのだから、彼らにしたって同じ。あたりまえのことを忘れていたようだ。
視点を「今の」子どもに合わせること、学校の図書館はそれができているんだろうか。もしかして「大人の都合」で、「効率」を求めていることはないかな。自分で確かめることができないのでもどかしいけれど、ホントの意味での「良書」に巡り合えるといいな。子どもにとっての「本」は、やっぱり「世界」であるし、「社会」でもあるのだから。
【ことば】”低学年は、まだ“リアル系”と“空想系”の区別はついていない!”...”サンタクロースはほんとにいるっ!”と思っている人たちにとっては、空想系の本もリアル系!
すごいなあ。サンタクロースがいる!という説明で、みごとにハラに落ちました。本を“リアル系”と”空想系”に大別した著者ですが、もっと小さな子どもたちには、その区分がないのですね。学校の図書館を「魅力ある」ものに変えようと邁進していらっしゃる著者、その前の世代のココロもわかっていらっしゃる。本が好き!な著者の世界はやっぱり限りなく広いですね。
子どもに本を買ってあげる前に読む本―現代子どもの本事情
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La Vie En Rose
おいしい本箱diary
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