- 生きる勉強 (サンガ新書)
- 発売日: 2010/11/26
『生きる勉強』アルボムッレ・スマナサーラ、香山リカ④
[14]
Amazon ★★★★☆
K-amazon ★★★☆☆
スリランカ上座仏教長老スマナサーラ師は、自らの仏教を「宗教」とは位置づけず、「科学」であるという。キリスト教をはじめとする宗教は、「その宗教(あるいは宗派)以外は救われない」と説く時点で排他的であり、「生きとし生けるものの幸せ」という点とは大きく異なる。
そんな師のもとへも「すがる思い」で悩みをぶつけてくる人が多いようだ。同じようで同じでないのかもしれないけれど、「悩む」人が駆け込む先としての「精神科医」との対談は、両社の「範囲」がテーマのひとつになるかと思われたが...
精神科医の香山さんが、自らの「医学の立場」としての「悩み」を、師に投げかけているような流れ。当然に、精神科医が最も「精神的に」ツライ職業のひとつであることは間違いないと思われるが、非常に素直に率直に、そのあたりのジレンマ、試行錯誤の状態を師に投げかけています。
もちろん、お互いその道のプロであるので、香山さんは、「医学」の立場でありつつも「仏教」の考え方や、手法を、少しでもヒントを見つけよう、という強い意識が見えました。
それは誰のため?病院にやってくる「悩み」を抱えている人のために。香山先生のところに行って、解決の糸口を見つけたい、と思っている人のために。
スマナサーラ師は、突き抜けていらっしゃいますので、そんなレベルではなくて、もっと「上」からのお話になります。それはそれ、あらゆるものを越えた点からのご意見であり、ご説法であるので、説得力はあります。
ものの見方、世界をどう見ればいいか、自分のことをどう見ればいいかという、人間には欠かせない教育を誰も受けていないことなんですね。
本来の宗教の役割は、一貫して生きることの勉強をさせてあげることなんです。 「このように生きてみなさい」と。
概念は理解できますが、それを日常の行動にまで落としていくのがなんだか遠い感じがします。すごく「きれい」なんですけれど、自分のことに、自分の目の前のことに置き換えるのが、また困難な気がします。
精神科医の香山さんのは何か得るものがあったと思われます。彼女の「治療」の範囲が大きく広がるのではないでしょうか。ただ、それはもともと先生が持っていた「悩める人を楽に幸せにしてあげたい」という気持ちが前提です。
本書は表面的には、仏教の師と医学の先生の対談で、「末端の」悩める私たちは、おいてけぼり...と思われがちですが、意外にその「疎外感」「距離感」が丁度よかったりします。ここで悩みが解決したりはしないでしょう、直接には。また、「じゃあ、仏教で行こう」っていう気持ちにもなりません。でも、なんだか、ゆったりした気持ちになります。それで十分かも、って思えちゃうくらいに。
【ことば】...大事なのは「今の瞬間」なんですよ。人が現実的に、具体的に生きているのは今の瞬間だけです。だから「今をしっかり生きよう」と...
「今」を充実させるように努力する。「今」を1日、半日、1時間、1分と縮めても、その「今」を充実させる。それができれば、「もう一度、取り戻す」「今まで何だったのか」「この先もどうせ」がなくなる。
概念的ですが、実践的でもあります。「今」を満たしていきたいと思う。何かが変わると信じて。
生きる勉強 (サンガ新書)
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