- サッカーという名の戦争―日本代表、外交交渉の裏舞台 (新潮文庫)
- 発売日: 2011/08/28
『サッカーという名の戦争』平田竹男
[13]bk1
Amazon ★★★★☆
K-amazon ★★★☆☆
南アW杯での日本代表、なでしこ、サッカーの特に日本代表戦の「レベルアップ」は確かにすごい。技術的な点も、興行的な点も以前より格段にあがっていると思う(すみません、「どシロウト」です)。以前は「サッカーの代表戦」を見るという習慣なんて、一部の人だけ、自ら選手であるとか関係者とか、だったけれどね。自分に置き換えてみても、代表戦は気になるよなあ、Jリーグは気にならないけれどね。
特に国際試合における「マッチメイク」、予選方式や、時期、開始時間、実施場所に至るまで、各国の「協会」が駆け引きをしている実情が、本書に著されている。通産省官僚から、サッカー協会に移った著者自身が行ってきたことだから、かなりナマナマしい。
特に、「アジア」としてライバル関係にあり、W杯などの予選に絡む各国との折衝は、国家間の「政治」も絡んだりして(アラブ諸国なんかだと特に)、著者のような「官僚」経験が活かされたりする。
いやいや、すごい世界だ。
もちろん一般市民は、「ニッポン!」って叫んで応援していればいいんだけど、今のような状況になるには、「裏側」の隠れた努力が、これだけの莫大な尽力があったんだなあ、と、「知らない世界」の存在をしりました。
少しでも自国の有利に働くよう、予選で当たるであろう国の協会関係者には、事前に根回しをする。そこに政治的な利権などもあるのかもしれない。そして、組み合わせが決まれば、「強化試合」を組む。そこでも、「本戦」のための強化試合として役に立つような組み合わせ、相手、開催場所、時期などを周到に考慮し、交渉し...
結果として、日本代表は男女とも世界に出ていけるだけのレベルまで上がってきた。まだまだ「上」があるのはもちろんだけれども、応援する側にも、大きなイベント、魅力的なコンテンツとしての認識ができた。「応援が高まる→試合に勝つ」サイクルがさらに上に向かっていけるように...
そしてまた、日本が「強くなっていく」過程は、他国、特にライバルのアジア諸国に追随されていくだろう。それを上回るような「技術」が、バックヤードでも必要になってくるのかもしれない。サッカーだけじゃなくて、産業、工業だって、日本の後を追いかけて中国、韓国などが猛追、或いは追い越しているわけだじね。
官僚、という読み手(自分)の先入観からか、文書が固くて、「自分が、自分が」的な、何様?的な印象はあれど、これほど「裏側」を具体的に残してしまっていいのか、くらいの「露出度」です。
タイトルは意図的なのかもしれないけれど、もう少し「競技より」でも良かったかなあと思うけれど...だって著者は、「戦う」ことと同じくらい「普及」を大事に考えているのだから、さ。
知ってなくともいいことだし、知っていることを誰かに伝えるような内容でもないけど、知っているとその「深さ」を感じることができます。それはちょっとした自己満足であったりします。
【ことば】準備に完全はない。そして成功を手にできたときに、全力でおこなった大半の準備は使われず不要となる。割のよい仕事ではない。しかし、それは決して無意味ではないのだ。
ありとあらゆる想定をして、それに備える。特に「相手」のあるサッカーのような競技であればなおさら。その「想定」が実際はなされない場合の方が多いだろう。その準備した「カード」は不要になるかもしれないが、その準備にかかわった人々の気持ち、想い、結束、そんなものは、一生続く財産になるはずだ。
サッカーという名の戦争―日本代表、外交交渉の裏舞台 (新潮文庫)
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樽井さんの読書&電化よもやま日記
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