- グラスホッパー
- 発売日: 2004/07/31
『グラスホッパー』伊坂幸太郎
[18]Library
Amazon ★★★★☆
K-amazon ★★★☆☆
あまりにも注目されている著者なので、1冊は読んでみたいと思った。特段理由があるわけではないが、10年ほど前から、いわゆる「ミステリー」を読まなくなって、「殺人」とか「犯人」という類がでてくる世界からは遠ざかっていた。
のっけから「裏」社会の話で、登場するのは「濃い」人たちばかり。猟奇的な、職業的な、そして「物語的な」殺人者たち。唯一の一般市民も登場するが、彼も「裏社会」となんらかのつながりがある。
当初はバラバラに登場して、その「強い」個性を発揮していた殺人鬼たちが追う相手、相手の事情、これらが徐々に集約されてくる。点と点が結びついて線に面になっていくような「広がり」のイメージ。
キャラクターも、一人ひとりが「主役級」の強さを持っているのだが...
その登場人物たちが、「直接対決」する場面が、後半はメインになってくるのですが、個性が強い人たちが交わると、結構「くどい」感じになってしまう。
「こういうふうにつながるのか!」と感心するものの、「やはりこう終わるのね」という調和感が少し見えちゃったりする。
うーん、展開としてはすごいなあー、頭いいなあ、って思えるような「意外性」があるんだけど、それは「展開」つくりに対してであって、「顛末」「結果」には意外性がないような気がするんですね。まあ、そもそもが現実(=自分が「通常に」生活している社会)から離れているので、途中休んで読書を再開すると、この非現実世界に入っていくまでに少々時間を要しました。これも「少しずつ読んでいく」派には不利かもしれません。
なので、この1冊では、多くの人が注目している著者の「よさ」が自分には伝わってきませんでした。なので「次」を読むかどうか...正直、「そういう場面」がでてくるのは苦手なんだよなあ。だからちょっとこれとは違う作品を探してみようと思います。
って否定的になっていながらも、読み終えた後に外を歩いている時に、ちょっと暗闇が怖かったり、本書にでてきたような場所を見るのをためらったりしてしまいました。
実はけっこう入り込んでいたのかもしれませんねー。
【ことば】「どんな動物でも密集して暮らしていけば、種類が変わっていく。黒くなり、慌ただしくなり、凶暴になる...」
タイトルの「でどころ」と思われる一節。密集した場所に住むバッタは高く遠く飛ぶようになる。餌の確保のために。もしくは餌を確保するために密集度合いを下げる方法がある。「餌」を「金」もしくは「利益」に変えてみよう。どこかの業界の話になったね。そこで生きていくのが幸せかい?
グラスホッパー
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