2011/08/01

地位が人を作るのか、そういう人が地位を占めるのか。

『心を整える』長谷部誠
[1/141]bk1
Amazon ★★★★☆
K-amazon ★★★★☆

代表戦だけのファンですが、長谷部選手のことはもちろん知っています。が、「代表」だけを見てきた自分にとっては、彼はとびぬけた技術を持っているのかどうかは分かりません。中田や俊輔などは「うまいなあ」という場面を見ていますけれど、ゲームキャプテンたる長谷部選手はどうなんでしょう?以前は、キャプテンである長谷部選手が後半に交代する場面を目にして、「なぜゲームキャプテンが?」という疑問を持ったこともありました。
評判になっている本書は、長谷部選手の「ありのまま」が語られています。以前に遠藤や俊輔の本を読みましたが、彼らの本が、当人が書いていない、とは言いませんが、この本は間違いなく、長谷部本人の言葉で書かれている、と感じます。タイトルにあるような、ちょっとキレイすぎる言葉が、読み終える頃にはなんの違和感もなく、「彼ならば」当然のように思えてくるような感じさえします。
サッカーが好き、という前提はありますが、カズなどの尊敬できる先輩方の薫陶を受けながら、真摯に「プロサッカー選手」としての道を歩んでいる姿が垣間見れます。テクニックがどうこう、というよりも、あらゆる試合に対して、日本の日本人の代表として、プロとして取り組んでいる姿、少々まじめ「すぎる」感じもしますが、与えられた「天職」に対して取り組む姿勢は尊敬の気持ちにすらなります。食生活や、マスコミ対応、試合前のコンディション調整...27歳にしてここまで徹底して...すごいですねー。W杯南アフリカ大会でのゲームキャプテンに選んだ岡田監督の眼力に畏れ入ります。本書にも自ら書いているように、本人も戸惑いはあったかとは思いますが、それでも「自分のスタイル」を貫いて、役割を全うしています。やはり、そもそもそのような資質は持っていたのでしょう。さらにW杯というサッカー選手にとっては究極の試合においてそれを任されるという、運命にも似たものが降りてきたのかもしれません。
さらにキレイゴトのようですが、「日本のサッカーを活性化する」ことを自らの目標のひとつに置いている著者、そして、W杯決勝T進出、アジアカップ優勝など、キャプテンとしてのひとつの金字塔をクリアしつつある中で、まだ現状に満足していないその視線。かっこいいなあ。
本書にもありましたが、途中交代や、ベンチスタートなど、本人も納得のいかない場面も少なくないはずですが、それをプラスにとらえることができるのは素晴らしいです。自分の技術の足りないところなど、改善すべきことを見出そうと切り替える強さ。テレビで見る限り、交代の場面でも、長谷部選手は不満な表情はしませんよね。W杯でPKで負けたときもそうでした。悔しい、納得いかないことも、表情にださず、プラスに転換できる。本書では伏せてありましたが、本人の中に「大きな目標」が、ぶれずにあるから、かもしれません。そして、いろいろな環境の人と接触し、そして(かなり意外なところですが)多くの本を読んで、刺激を受け、その刺激を活力にしている。インプットもアウトプットもできている人間です。いい男ですねー。
サッカーというよりは、「プロ」としての心得、として読める本です。次のW杯でも是非代表として、ゲームに出て欲しい。応援したい選手のひとりです。


【ことば】...気づかないだけで、日々の生活は頑張っている人々の姿であふれているのだと思う。自分のことでいっぱいいっぱいにならず、そういう姿に気がつける自分でありたい。

ものすごく大切なことだと思います。 どんなことでも、一生懸命頑張っている人たちの、その姿に気づいて、そこから刺激をいただく、それが自分の成長につながるような、そういう生き方でありたい。

心を整える。 勝利をたぐり寄せるための56の習慣

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