2011/07/28

最後までイメージが結びつかず...



『日本人の美徳』櫻井よしこ
[18/140]BookOff
Amazon ★★★★☆
K-amazon ★★★☆☆

「今日の出来事」や薬害エイズ問題に取り組む姿勢...どちらかといえば「映像の中の人」であり、特別な思い入れはなかったのだけれども、ジャーナリストとしてふるまう姿勢を拝見するに、かなり「鋭い」論調を、味めて読むこの本には期待しつつ。そして自分の周りの女性で、「憧れの女性」で著者の名をあげる人が多くいるんだけど、その理由なんかもわかるかなあ、と。
タイトルからしても、特に今、改めて見つめ直す必要性を感じているところがテーマ。これは時代的にも、自分の年代、環境的にも、そう(考えてみる)思ってるところである。鋭い切り口の著者だから、他とは違った表現を見せてくれるだろうと...が、本書のスタイルは極めて「優しい」口調で終始して、「櫻井さんだから」という点が正直あまり見出せませんでした。もしかしたら「文字にすると一部の反対論じゃからの攻撃を受けかねない」的な発想から「中立的立場」での表現になったのでは?と思わせるほど、「フツーの女性」が書いた、というイメージしか伝わってきません。悪く言えば「タレント本」みたいな感じです。かつて「今日の出来事」で厳しい表情で政府への苦言を呈していた印象が、その人がこの文章を書いている、という印象が、ページが進むにつれて薄れていってしまいました。
もちろん、「日本人の美徳」に関しては、同意できる点が多いです。個人主義がまかり通る中でも、やっぱり基本は「家族」であり、おじいちゃんから聞いた昔話であり、家族全員で囲む食卓だったり、本書の中で複数登場する、聖徳太子の言葉「和を以て貴しと為す」であったり...これにはまったく異論はございません。著者自身のお母様を大事にされているご様子など、「あーここに美徳が」という温かい気持ちにもなります。
が、ここまでの内容は特に「櫻井さんだから」ということではなくて、他の方でも書けるのかなあって。切り口がフツーであり(私たちレベルまで「敢えて」降りてきていただいているのかも)、「らしさ」が少ないような感じがぬぐえません(勝手なイメージとのギャップですけれども)。
特にご自身がハワイでの大学生活を経験されたこともあって、自国=日本の歴史や、文化、それらの知識を備えておくことの重要性については、自分もそう考えております。この「自国を知る」ことが、直接的にどうこう、ではなくて、そもそも基本として自国を愛すること=知ることは大前提ですね。自分が生まれた国、育った国を知ること、愛すること、誇りに思うこと。自分の存在も、その歴史、文化、伝統の一部であると実感できること。これができたとき、あるいはこれをできるように意識したとき、すなわち「美徳」も備わるのではないかと思います。
櫻井さんへの「期待」はけして消えていないので、もう1冊は読んでみたいですねー。少なからず刺激をいただくような内容のものを。

【ことば】お父さんは...一生懸命生きているんだと、胸を張って子どもに言えるような生き方...自分に対する信頼と誇りを持てるような生き方をしてほしい...それが父親の子供に対する最高の教育です。

普段子どもたちと接していない立場として、「仕事」という場面を見せてあげられない立場として、伝えるべきものは「姿勢」だと思っています。もちろん「言葉」も必要ですが、その言葉を作り出す源泉としての
誇りや自信。「誇り」かあ...全うな生き方を精一杯。これを徹底すること、だねー。

日本人の美徳 誇りある日本人になろう (宝島社新書 262)

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