- ビジネスに「戦略」なんていらない (新書y)
- 発売日: 2008/06
[4/126]Library
Amazon ★★★★☆
K-amazon ★★☆☆☆
最近の自分の傾向=「効率」ばかり追いかけて、何か見失ってない?っていう中で、タイトルからは何か「あたり」そうな予感。ビジネスとは?働くとか?っていう高尚な「哲学」は追い求めてはいないけれども、その本質を追い求めている自分は確かにいる。
年功序列か成果主義か、とか、顧客が支払う価格は、商品やサービスの対価のみなのか、とかとてもいいフレーズがここにあります。白と黒の間のグレーが必要でしょ。支払われるお金の対価としては、商品やサービスのみならず、満足や信用というものがそこにあるはずだよね。いい言葉です。響きます。「技術や誠意と交換される満足や信用」は損益計算書に記載されません。「見えない資産」として会社に蓄積されていく。その通りだと思います。そして、それこそが「会社の継続」の軸であると痛感します。が、著者はここでこの「見えない資産」を「インビジブルアセット」と呼んじゃうんですね。敢えてカタカナにする必要は100%ありませんけど。そういう「わかりにくく」している箇所がものすごく多い。読んでいて疲れます。本書を書くにあたり「リーダーフレンドリー」を意識したと冒頭で言います。「リーダー...」なんて言葉を使う時点で気づくべきでしたが、一事が万事、「意識的に」としか思えないような「わかりにくさ」化を試みられています。
最後に元協同起業者とのメールのやりとりが紹介されていますが(これが最高に難解です)、お二人で難しい言葉で哲学的に語るのはまったく問題ありません。が、こうして一般の本として、著者からの問題提起として本を出される場合は、自分のような「ハナタレ」にもある程度わかるように書いてほしいもの。難しいものを簡単にするのが一流では?難しいものを難しく、は一流ではありませんよね。この本はさらにその上をいく、「簡単なものを難しく」というハイレベルな設定です。
テーマは本当に本当に、「本質」を突いた興味深いものであるだけに残念でなりません。著者のいうように(多分そういうことを言われているのだと理解)、効率化だけではなく、人と人とのコミュニケーションがポイントであるのなら、相手のことを思うべきですよね...本質的なテーマであるだけに、そのギャップが余計に大きく感じられます。
著者は「言葉」の影響力についても触れられています。「戦略」という言葉が独り歩きしている現状に警告を出されています。自分も同意しているところで、お金をいただくお客様に対して「戦略」という言葉はあまりに下品ですよね。「競合」というのも同じ。他社(者)を蹴落として自分だけ生き残る、そんなイメージの「戦略」という言葉は、使っているだけで、意識に大きく作用してしまう。同意です。「戦略」「競合」という言葉はあまり使わないようにしようと思う。言葉の持つ重みは確かにあるから。
しつこいようですが、そんな「重み」がある言葉を使う文章、本であるからこそ、「伝わる」ことを優先していただきたく思います。自分が発信するあらゆるもの(文書、言葉)に意識を向けよう、相手に伝わっているか、ということを意識して。ということを(逆説的に)学ばせていただきましたー。
【ことば】顧客から繰り返し注文をいただくこと...繰り返しを保証するのは「信用」という見えない資産以外にはありません... 見えない資産が蓄積されることの重要性を多くの...ビジネスマン...が見過ごすのです。
まさに。ズバリそのものです。「戦略」で「攻略」しても、お客様からの「繰り返し」はいただけません。ビジネスだけでなく、すべての人間関係において、その通りだと信じます。
ビジネスに「戦略」なんていらない (新書y)
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