- 会社の品格 (幻冬舎新書)
- 発売日: 2007/09
[14/136]BookOff
Amazon ★★★★☆
K-amazon ★★★★☆
確かこの時期に新書のタイトルが「品格」だらけになっていたような記憶が。先入観だけですが、「はやりもの」的なイメージを持ってしまいまして。考えてみれば、「国家の-」「女性の-」といった「品格シリーズ(?)」の中では一番身近なんだよなあ。
内容は、タイトルの「会社の品格」と、「社員の-」「上司の-」そして「働くことの-」と続きます。働く形態、意識の変化(よく言われる終身雇用から、流動化への流れ)の中で、個人としてどのような意識を持って働くのか、会社と自分との位置づけ、 管理する側に立った時に「チーム」としてどう進んでいくのか。
...面白いです。引き込まれます。なにより響いたのは、「経済合理軸で動く会社と、必ずしも経済合理軸では動かない社会との間のギャップ」という点。そのギャップがひずみ、摩擦を起こし、会社は会社の論理(のみ)で動いてしまうと...最終形は「不祥事、隠ぺいが明るみにでる」ということかもしれません。こんなこと(会社と社会のギャップ)誰でもわかっているんだけどね。だって、個人レベルで考えれば、会社の構成員であると同時に、一般の消費者であるわけで。極めてシンプルだけど、シンプルであるが故に「見ようとしないと見えなくなる」んでしょうかね。幸か不幸か、自分はどこか冷めたところがあって、また転職の数故の経験値からも、「どっぷり浸る」というよりもある程度の客観的な視点(一歩引いた)を持っている(つもり)ではある。これって意識しないと「染まっていく」んだよねー。実はこの要因のひとつは「言葉」だと思っているんですけど(その「内側」だけに通用する言葉があるんだよね、どこの会社にも)。
会社はそもそも、金を儲ければそれでよし、という場所ではない。人生の大半の時間を投資する場であって、また利益を得るために汗をかくのは「会社」ではなくて、そこにいる社員であることは間違いない。アメリカ式かどうかしらないが、株主のためにとか、そんな話を聞くと極端に冷めます。何のために働くのか、という点が何よりも重要、そんな時代ですから。「儲からない。数字が残らない施策はやらない」的な風土になってしまう会社が間違いなく衰退していく、数字ではない「ストーリー」や「士気」を作る、高めることって、大事ですよね。人が変わる、成長することで何かが生まれる。それを心から信じていくこと、これが「仕事をする意味」でないかなあ。
タイトルにある「品格」は、まさに個人としても組織としても備えなければならないものです。しかしながら当時は「ブーム」だったこともあり「品格」という言葉の価値が下がってしまいましたね...本書もその波に乗らないようなタイトルであったらもう少し早く「出会う」ことができたのに、と思います。著者自身も本書の中で書かれていますが、「言葉」って大事ですものね。
余談ですが、著者の経営する会社で、研修を受けたことがあります。はっきり申し上げて「最悪」でした。クレームしましたがなんら返答をいただけていない。本書のような素晴らしい考えの代表が率いる会社なのに...そこは残念ですが、本書の内容を汚すものではありません。あくまでその会社の現場のレベルの低さ、それだけです。
【ことば】会社というのは、誰に対して、どんなメッセージを発信していくのか...どんな世の中にしたいのか...どんなライフスタイルを提案するのか...何らかのメッセージを持つべき存在なのです。
「数字だけしか表面していない会社からはメッセージを読み取れない」と対になった言葉です。これらはどこかのだれか(特定できていますが)に真に伝えたいことばです。まずは自分の周り、いや、自分自身からそうであるように徹底していこうと思います。
会社の品格 (幻冬舎新書)
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