2011/08/24

必要なのは「場数」と「陽転思考」。


『本番力』和田裕美④
[13/153]bk1
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ご本人が実施されているセミナーなど、「知らない人の前で話す」本番で、いかに力を出すか、出し切るか、という秘訣を集めた内容です。(以前は何度かありましたが)自分にとってこのような「場」は今現在はあまり出会うことはないのですが、通常の業務の中でも、或いは家族に対しても、考えてみれば「相手があって、伝えたいことがあって」という常に「本番」なわけですよね。
和田さんの本は4冊目ですが、「自分はそんなことできない人間」であって、それを乗り越えて今に至る、という話のベースはあまり変わりません。そして、その内容が(自分にとって)非常に分かりやすく、伝わってくる、という書き方も。これって素晴らしいことですよね。もちろん意識はされているのでしょうけれども、本書の中で書かれていたように、「準備」を、仮に無駄になったとしても十分に整えて、そして「相手の気持ちを考えて」話す、という姿勢が、本の書き方にも自然に現れてくるのだと思います。さらっと「自分の苦労時代」の話もされますが、それを乗り越えて今がある、という流れですが、乗り越えたのは、並大抵の努力ではなかったはずです。陽転思考、つまりひとつの物事でも二つの側面から見る、という著者の考え方の根っこにあるものも、「そうだね」といって身につくものではない、これも試行錯誤、努力と継続のたまもの、ということを感じます。
本書のテーマ「本番力」でいえば、「本番の自分」という箇所に「同意」を持ちました。どんな場面でも通常の自分を出す、ではなくて、アガる、緊張する自分も間違いなく自分であって、その緊張感を持った自分を(いつもと違う自分、と思わずに)受け入れて、そこで最大限のパフォーマンスを出す、そんな考え方。緊張していて自分の力を出せなかった、ではなくて、緊張していても十分力をだすように、そんな考えで、努力、準備を怠らない、そんな考えだと思われます。
副題に「~本番に強い人は必ずやっている26の習慣」とあります。最近(はやり?)この手のTIP集が多く、著者自身も初めての手法ではないはずで、多少新鮮味がない印象はありますが...著者の場合は「テクニック」というよりは、意識ひとつでできる「TIP」という側面が多く、またご自身で実行されてきたことでもあるので、そこいらのコンサル先生の言うことよりは現実的で説得力もあります。
同年代として尊敬できる方ですね。その根底にあるものは「人への思い」であることを本書で改めて感じましたです。

【ことば】自分に嘘をつかず、人が見ていないところでこそ努力する。

深い、です。そして難しい、です。でも「生きていく」のは、こんなことをできること、なんだと思う。「人が見ていないところで」、大きな意味で「(直接の)見返りを求めずに」と解釈すれば、すなわちこれは「愛」ですね。


本番力 〜 本番に強い人が必ずやっている26の習慣

1 件のコメント:

  1. 先日、和田さんの講演に行きましたが、全く台本なしで自分のことについて語っていました。
    『本番力』とはこういうものかと実感しました。

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