2011/08/18

結果的に「正しい」ものは...


『なぜ正直者は得をするのか』藤井聡
[10/150]Library
Amazon ★★★★☆
K-amazon ★★★☆☆

成果主義、拝金主義にみられるような「利己的な」考え方は、一時的には成功するようにみえるが、結果は...最終的には「正直者」=利他主義、非利己主義の考え方をする者が幸せになりうる、という論です。どちらかというと、「なぜ利己主義は生き残れないか」という説明に多くを割いますが、なぜそれらの者が淘汰されるかというと、ひとこと=「嫌われるから」ということ。利己主義の塊のようなタイプは周りに人が寄ってこない、非利己主義に装ってもばれる...という極めてシンプルな理由づけです。
まあ、確かに。自分の周りを見てもわかりますよね。「あいつは自分のことしか考えていない」ってのは好かれるタイプではありません。すき好んで寄って行こうと思いません。またそれを少し拡張して考えれば、そういったタイプの多い組織(企業体も国家も)は、最終的には消滅する、或いは、利他主義を貫く組織が生き残る、という説明もあります。これも感覚としてよくわかります。著者はその原因として政府が推し進める構造改革や民営化といったものをあげています。大きな時代の流れ、なのでしょうけれども、その「構造改革」が利己主義思想を強化している、というのは、正直よくわかりませんが、営利企業であっても、「拝金主義」は嫌われるし、(一時的な成功を成し遂げても)その本質がいずれバレる、というのは、確かにそう思います。
消滅した古代文明を事例にあげて、そうならないためには「協調」する意識を持つ構成員の比率が高いこと、という条件をあげていますが、同じく著者が主張する「そうして変えていかないと、一部の利己主義が存在することで(利他主義を含めた)組織全体が消滅する」という危険性。こわいですね。レベルの差こそあれ、営利企業である以上は、ある程度の「拝金主義」であることは間違いないでしょう。考え方だけでも「(利他主義的な)活動の結果としての利益」という概念があれば、随分と変わってくるのかもしれません。そういう考え方がいつかきっと表にでてくる、という夢がなければツライよね。「仕事は金をもらうためだけ」というには、それに割く時間を考えたらあまりにもツラい。本書で貫かれているように、「利己主義」がいずれ退却する、ということを信じていくしか...

【ことば】我が国は...様々な形の“協力”を社会的に行い続けてきた...そうした“人々の協力”がなければ、現在私たちが“日本”と呼んでいる国そのものが、滅亡していたかもしれない。

日本人には、その根底に「協力」という概念を持った民族である、ということ。表面的な成果主義、拝金主義を受け入れてそれに邁進するよりは、もともと「持っている力」を発揮すること、これが大事かもしれない。なんとなく、だけど、「風向き」が変わってきているような気もする。

なぜ正直者は得をするのか―「損」と「得」のジレンマ (幻冬舎新書)

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