- 世界が絶賛する「メイド・バイ・ジャパン」 (ソフトバンク新書)
- 発売日: 2010/12/18
『世界が絶賛する「メイド・バイ・ジャパン』川口盛之助
[15/155]bk1
Amazon ★★★★☆
K-amazon ★★★☆☆
いわゆる「サブカルチャー」と呼ばれる分野で、日本の世界進出が目覚ましい。アニメ、フィギュアなどが頭に浮かぶ。おそらくそれらの分野にも詳しい著者が、日本の「伝統の」モノヅクリを深堀した内容です。
個人的には、その分野はあまり詳しくないし、興味も薄いんだけど、否定するものではない。もちろん日本には「伝統」的な芸能や技術があるけれども、たとえば能とか歌舞伎が偉くてアニメは低い、ということはない。著者も書かれているように、日本には日本のいい面、長く培ってきた国民性のようなものがあって、それが「文化」として表出して、それを「輸出」していく局面だと思う。当然ながら、こちらが輸出したくても、それは受け入れる相手があることだから、日本以外の人々がどのような価値観を持っているかによる。今現在外国に受け入れられているのは、特に「外国仕様」を最初から企てたものではなくて、日本で(一部の領域であっても)受け入れられたものが、外国「にも」受け入れてもらえた結果だろうと思う。そもそも日本国内でも「ニッチ」であるものの方が元気があるように見えるのは、メディアの取り上げ方、によるものか...
大きく考えれば、日本には世界に認められた「技術」がある。自動車然り、工業技術然りである。もちろんこれらも「輸出」されているのだが、これはすでに「あたりまえ」の領域、なのかな。個人的な考えとしては、もっと「技術移転」が盛んになればいいなあ、と思う。詳しくはしらないけれども、金銭の援助の枠を増やすよりも、現地用にカスタマイズされた技術を移転するほうが、「貢献」度合が大きいような気がするねー。
そして、自分の幼少の時期と比べると、「日本人」の世界市場でのアクティビティが変化したように思う。オリンピックなどで活躍するスポーツ選手の言葉、振る舞い。これが(テレビというメディアを通じて、しかわからないけれど)一番顕著で、体力的な差異は埋められない部分はあるものの、精神的な差異は随分と縮まったように見える。アジア諸国の猛追をうけてはいるけれども、彼らの「世界を相手に闘うときのパフォーマンス」は、その精神面からみると、けして世界でも劣っているものではない、そう感じる。特に若いアスリートに関しては。
本書は、大部分が「ニッチなモノヅクリ」に焦点が当てられていて、それはそれで面白いんだけど、テーマとしてもっと大きく、「人間」にスポットが当てられたものもあってよかったかなあって思う。確かに「日本(人)ならではの発想」によるモノヅクリは、とても興味深いヨミモノでした。「ワビサビ」っていう概念かな。「共感」という意識かな。日本人であることを意識することから始まるものかもしれませんね。
【ことば】...結果の勝ち負けではなく、美しい物語があったかどうかというプロセス重視の考え方です。
日本人「独特」の勝負感、敗者の美学、滅びの美学を語った場面です。「勝てる」場面で戦う、という外国人(決めつけてはいけませんが)とはちょっと違う「美学」ですね。最近は「勝つ」以外のことは無駄、と考える風潮もあります。が、ごく最近はそしてこれからはこの美学に「揺り戻し」が起こるのでは...と何の根拠もなく思っております... 世界が絶賛する「メイド・バイ・ジャパン」 (ソフトバンク新書)
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