- 人材の複雑方程式(日経プレミアシリーズ)
- 発売日: 2010/05/11
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現代の「仕事」環境の変化に対応する、人事の在り方、組織の在り方、リーダーの在り方についての論です。ワークライフバランスだの、労働力の流動化だの、諸々「変化」に関するキーワードが飛び交う中で、従来の終身雇用、年功序列から、成果主義に変わっていく中での、組織側での思惑だったり、それに労働(時間)を提供する側としてどういう心構えで臨むか...という「対策」まではあまり深くありません。どちらかというと、「変化の現状」というところの「解説」と考えた方がよいかも。
リーダー不在を嘆く組織が多いが、「リーダーとしての役割」に期待しすぎでは?とか、コンプライアンス重視の傾向の裏には、従業員への「不信」があるのでは?(不信故に、規則で縛る。)とか。「そうだよなあ」って思う箇所は少なくないです。そういう状況に対してどうする、というのは、もちろんその組織にかかわる人がその組織の進むべき方向性に従ってアジャストしていく...まあ、あたりまえ、なんですけれど、そのヒントはなかなか見つかりません。どちらかといえば、そういう世の中の変化に伴って組織としてどのような姿勢、体制が求められるのか、という人事系のヒト向け、なのかな。そこで実際に働く人たちへのメッセージではない、そんな気もします。
もちろん、組織にはその成長に伴って、いろいろな考えの人が集まってくる。その中で集合値を見出すのは
「リーダー」の役目なのでしょう。でも、著者が指摘するように、リーダーの条件としては、その組織である程度の経験値が必要(あった方がよい、レベルかもしれない)だったり、リーダーの地位を魅力的にしていく、という組織としての体制づくりが必要だったりします。その人が入ることだけで劇的に変わる、こともあり得るんでしょうけれども、短期的なものではなく、じっくり中長期的にチームが成長するためには、やはり時間も必要になってきます。サッカーの監督人事を見ていると、あまりにも短期的な「成果」を求めている感じがしますが、短期的な「変化」は誰でもできる可能性はありますが、「成果」が短期的にでるのは、よっぽどの人事か、もしくは「外的な要因を含めた偶然」でしょう。「強いチームを作る」ことは、そして意識を変えていくにはやはりある程度の時間が必要かと思われます。
ただ、リーダーも人間、スタッフも人間です。リーダーをリーダーたらしめるのは、その本人の資質だけではない、という著者の論は、まさにその通りだと思います。成果主義や、職務主義など、いろいろな手法はありますが、それが当てはまるのか、なんて組織、チームによって違うのが当然だし、同じ組織においても数年後には変わってくることもあるのではないかと。「生き物」ですからね、組織も。
いろいろな「複雑さ」を理解したつもりではありますが、今日も「現実」に向かい合う。そのギャップについて「あきらめ」に近い感覚をもってしまう意識が一番よろしくないのかもしれませんね...
【ことば】...ワークライフバランスとは、「ワークとライフの間にコンフリクトのない状態」だと...
どうもこの言葉=ワークライフバランスという概念が理解できずにいますが、著者の考え方には同意です。めいっぱい働くことを自ら「選択」することも、(それで満足であれば)当人にとっては「バランス」なわけですよね。つまり、「上から」何かをすることではない、ということですね。
人材の複雑方程式(日経プレミアシリーズ)
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