2011/08/20

キーワードは「プロフェッショナル」

社会貢献でメシを食う
社会貢献でメシを食う
  • 発売日: 2010/09/10
『社会貢献でメシを食う』竹井善昭
[11/151]Library
Amazon ★★★★☆
K-amazon ★★★☆☆

「社会貢献」と言うと、「ボランティア」を想像してしまう発想はもう前時代的のよう。前に読んだ『チェンジメーカー』と偶然にも内容として一致する部分は多いのだけれど、「ビジネスの手法を以て、社会貢献する」というのは、NPO、NGOのみならず、企業においても革新的な動きをするところは出てきているようです。一昔はやった「CSR」というのともまたひとつレベルが異なるようで、従来のCSRは「ボランティア」に近いイメージ、すなわち「寄付金」レベルのことが多かった。それが、ボルヴィックの「1L for 10L」が一番いい例だと思いますが、本業と社会貢献が一致する、ようなアクティビティに変わってきているようです。最終的には本業における利益、ということなのでしょうが、収支面から言えば「間接的な効果」しかもかなり遠い「間接」ということになりますね。ブランディング、という言葉だけでもないような気もします。そこには、あくまでも「社会貢献」という「ゴール」が(「サブゴール」ではなく)存在している、その最終的な結果としての本業への寄与...というイメージがあります。順位、順序、の変化、ということ。本業利益のための(表面的な)CSR、というものは通用しないレンジにすでに入っているようです。
本書は、これから社会に出る若者へのメッセージ、NPO、NGOの実態、実情を解説しており、さながら「就職活動にむけての特定業界研究」のよう。若者をとおに過ぎた自分としては「時代は変わったなあ」という遠い視点を持ちつつも、「社会貢献」「社会起業」という概念について、自分の今、に置き換えてみる。それこそ自分が就職活動の頃の社会貢献は、イコール「ボランティア」であり、その後「介護業界」が一定規模になってからも、その業界のイメージはやはりボランティアであり、或いは「自己犠牲」であった。本書でも指摘があったけれども、2006年のグラミン銀行(ユヌス博士)のノーベル賞受賞あたりから、なのか、この世界のイメージも実態も大きく変わり始めたようです。まだ数年しか経っていない「業界」なのかも。
全般的には若者、学生向けの内容ですが、「社会人向け」の記述もあって、「プロボノ」という働き方が紹介されています。初めて聞く言葉だったのですが、本業で培った技術を、NPOなどへ無償で提供する、ということ。たとえば、広告代理店にお勤めの方が、当該NPOのブランディングについてノウハウを提供するとか、弁護士さんが、NPO法人立ち上げに無償協力するとか。この考え方、素敵ですね。「プロボノ」なる言葉や、そんな「働き方」があるとは知りませんでした。要研究。
このプロボノ参加にしても、体まるごとNPOで働くにしても、必要なのは「プロであること」と著者が何度も主張されています。技術も意識も「プロ」であること。その「プロ」部分を社会貢献として惜しみなく提供すること。そりゃそうですね。社会貢献xビジネス、どちらであっても同じことですが、「熱意」や「覚悟」を含めて、プロフェッショナルでなければ、成功はしません。当たり前ですが、まずは(どんな場であろうと)「プロ」になること、これですねー。

【ことば】どのような道を選んでも、社会貢献の先にある目的は同じだ。それは希望である。

(勝手なイメージですが)従来の「ボランティア」に関しては、「誰かの絶望に寄りそう」というイメージが一部ありました。同じ事象なのかもしれませんが、著者のいうように「希望」に光を当て、それを共に追い求めていく。これが本質なのだと、感動した言葉。

社会貢献でメシを食う

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