2011/08/03

「辛口」...というより「偏り」が気になって

いまこそ、日本、繁栄の好機! (WAC BUNKO)
いまこそ、日本、繁栄の好機! (WAC BUNKO)
  • 発売日: 2010/09
『いまこそ、日本、繁栄の好機!』日下公人
[2/142]Library
Amazon ★★★★☆
K-amazon ★★☆☆☆

今の日本、前向きな意味で、このタイトルは刺激的。パラパラ見るにつけ政治的な話(時の政権に対する提言など)も多そうだ。どうも、どこかの雑誌で連載されていたものの集約本みたいなので、時事ネタとしてはずれる可能性があるが...
読み始めて分かったが、著者は独自の「軍備」についてのご意見をお持ちで、「核の保有」なる大変「描きにくい」自論をお持ちのようです。それを保有すること自体に意味を見出しているということではなくて、なぜ保有すべきか、という点ももちろんおさえていらっしゃいますが...その是非はともかく、必ずしも自分の意見とは一致を見ない点についても、そういう意見がある、そういう意見も持っている人がいて、その人の考えを本として見る、というのはある意味ポイント。詳しく知りたい、という興味はないけれども、なぜそういう考え方に至ったのか、という点や、特に政治家やマスコミが「余計なイザコザ回避」のために口にしないことを敢えて本書でおっしゃっているようだ。これはこの方の意見として耳を傾けてもいいと思う。
が、このご時世、というタイミングの悪さであるけれども、「原発、原子力潜水艦をもっと作ればいい」という意見(何回か登場します)がよろしくないイメージとして残ってしまいます。もちろん著者はこのたびの事故を想定せずに書かれているのだと思いますが(今でも同じ主張をされるのか興味深い)、高度な技術で安全性が高まっている、というのが、薄っぺらく感じてしまいます。「東京の犠牲になるのは嫌」という知事はエゴである、旨の記載は、今となっては痛々しい。
直接的で、偏向した(いい意味ですよ)意見が並び、著者自身もいうように「辛口」の時評ではある。その辛口が「イタイ」感じもしないし、ひとつの意見として聞ける(読める)のは、著者自身が「国」のことを考えているから、だろうと思う。本来は持っているのだと思うが、それを表に出さない政治家のセンセたちとはちょっと異なる点だ。かなり一方的な主張ではあるけれども。そんな「辛口」の著者が安倍元首相を「買って」いるのは意外でしたね。安倍さんの考えを肯定する人って、当時も今もあまりいないような感じがしていたので...
過去のコラムをまとめた内容なので、時系列をほぼ考慮しないつくりで、「その時の首相」がかなり前後してしまっているのが、多少読みにくいですが、(繰り返しになりますが)こういう意見を持っている人もいるんだなあ、くらいで読めばすんなり、です。今の「国難」状況をどう考えていらっしゃるのか、聞いてみたい気がします。

【ことば】面倒な事件が起こったときは与野党が一致して首相を支え、またマスコミも国民も覚悟を決めて国難にあたるべきだと思うが、そういうことがまったくない...

まさに、「今」そういう状態です(「事件」ではありませんが)。覚悟を決めて実行しているのは、この言葉のなかでは「国民」だけです。首相を取り換えれば済む、そんな考えは、政治家センセたちとマスコミの中だけ。それらと国民の距離がだいぶ離れてしまいましたね。

いまこそ、日本、繁栄の好機! (WAC BUNKO)

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