- 本は、これから (岩波新書)
- 発売日: 2010/11/20
『本は、これから』池澤夏樹
[12/152]BookOff
Amazon ★★★★☆
K-amazon ★★★☆☆
作家はもちろん、書店員、装丁家、図書館員、そして読者と様々な立場から、「本は、これから...」を語る。内容の多くは、というかすべては、「電子書籍の台頭による『本』の未来は...」というテーマ。驚異に感じている方、結局内容だという方、紙がすたれることはないという方、使い分けることができるという方。(『本』の世界の)それぞれの分野におけるプロフェッショナルが、それぞれの考えを語る。
個人的には、蔵書をそれほど持つわけではなく、スペースという電子書籍の優位性のひとつを重視していないので、正直なところあまりそれには興味がない。あきらかに「紙」派である。が、デバイスのひとつとしての読書ツールに対しては否定する気もない。駅や電車でiPadで読んでいる人を見ると多少の違和感を感じるけれども、「自分は紙の本を読む」ということに迷いは生じていない。本書の中にもあったけれども、紙をめくる、読んだページ数や残りページ数の「厚さ」を感じる、ということが好きなので、電子書籍の「○ページ」という数字では得られない「快感」がある以上は、自分は変わらないと思う。たとえば前に読んだところを参照したくなった場合でも、「確かこの最初から3mmくらいのところに...」といって探すのも、これもフェチ的に楽しいものであるので...
雑誌とかビジュアルを伴うものは電子辞書で、とか「使い分ける」話も出てきましたが、自分にとってはあまり魅力を感じません。というわけで、「自分にとっては」否定派ですが、きっと「そっち」のほうが断然使いやすいということもあるのでしょうし、何かのきっかけで「電子書籍派」にコンバートする可能性だってあると思っている。それはそれでいいじゃない?読むのは内容だし、ね。
総勢37名の「本」に関するエッセイ。テーマは「本は、これから」というところだが、立場は違えど、何らかの形で「本」に接している方々、皆様の「本好き」の熱さには素敵な感覚を覚えます。そして功なり名をなした方々ですから、そこ(読書)から得たものを確実にアウトプットされ続けていらっしゃる姿には尊敬いたします。どちらかといえば、表現の硬軟あれど、「本が大好き!」という、少年のような心を感じました。こちらの側面の方が読んでいて楽しかった。
37人もの「モノ言う方々」が揃うと、それはそれで圧巻なのですが、一部はなんだか難しい表現を並べて何を言いたいのか分からないエッセイもあり、書店員さんの話で、その書店に行きたくなっちゃう話もあり。そんな中で池上彰さんは、さすがに分かりやすい、「届く」エッセイになっているなあ、と改めてそのすごさを感じました。
自分は当分電子系は使わない予定ですが、肯定派も否定派も関係なく読める本ではないかなあ。それぞれの「本好き」の話として。
【ことば】...書棚に収めることを第一の趣味としている...(成毛眞さん)
もちろん本来の目的ではないと思うけれども、集める、並べる、見入る、悦にいる、ということを「紙」の優位性にあげている方が数人。読み返す必要のあるなしにかかわらず、ということ。なんとなくわかります。コレクターの領域ですよね。コレクションも「電子化」されつつあるので、この概念も変わっていくんだろうか...
本は、これから (岩波新書)
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