2011/08/09

コミュニケーションの基本は「食事」なり!


『すごい弁当力!』佐藤剛史
[5/145]bk1
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小学校から大学まで、地域で取り入れられている「弁当の日」。その存在すら知りませんでしたが、これは、学生が「自分で」弁当を作って持参する、という企画。単に弁当を作る、ことではなく、作る過程での「考える」ことや、何よりも、普段お母さんが作ってくれているお弁当に対する感謝の気持ちが芽生える、という点で素晴らしい企画です。
本書は、その弁当の日に絡み、それを経験した方々の感想文がつづられています。食材を選ぶところから「面白い」と感じる方がいたり、他人の目を多少感じることでそれを刺激にして、作る弁当を工夫したり。黙っていても出てくると勘違いしがちな「食事」だけれども、それを作る人の「愛」、栄養を考えて食材を選ぶ、とか、嫌いなものも工夫して食べられるように調理してくれる、といったものを、自然と感じる、感じいることができる「心」を育む。よく耳にする「食育」って、著者の主張するように、こういうものが本質ではないかと感動しました。
思えば、まったく料理をせずに大人になった自分。母親が作ってくれる弁当、食事に文句を言ったこともあるし、残したこともあります。自分が作って自分が食べる、あるいは人に「喜んでもらおうと」考えて作る、その「愛」を心から感じて、感謝の気持ちをもって、それを伝えたことはあったろうか...反省。大反省です。母だけではなくて、カミさんにも。母親は、子供に食べさせるために、食材から考えて料理する。栄養バランスを考えても、ひとつだけ好きなものを弁当にいれてくれる。カミさんは、健康を考えて作ってくれる。食材だけではなくて、その愛も一緒に食べなくてはいけません。
もとより「食事」がコミュニケーションのひとつであることは認識していました。たとえば、会社関係。どちらかといえば「飲み」ですが、同僚も取引先も、「食事」という時間をいっしょに過ごすことで何かが生まれる、というのは自論だったりします。いわゆる「飲みニケーション」という古い考えなのかもしれませんが、これを大事にしたいとは思っておりました。が、肝心のものが抜けていましたね。お母さん、奥さんへの「感謝」を、強く自覚したい。肝に銘じます。
また、家族という場での「食事」。この大切さも描かれています。子供が成長するに従って、共に食卓を囲むことは少なくなるかもしれません。でも、今まだ小さいうちは、極力同じ食卓で食事をしたい。そして子供とともに「弁当の日」を実行してみようと(今は)思っています。著者が繰り返し本書で言われているように、そして著者が講演でも説かれているように、「実行」しなくては意味がありませんね。できるところからやってみたい。そして喜ぶ顔がみたいです。
 本書は「弁当」の作り方や、レシピなどは一切載っていません。そして食事の大切さ、という一番のポイントも押しつけがましく説いていたりもしません。あくまでも「弁当の日」に参加して、「実行」した方々の感想です。それがなによりも真実を語っている。人と人との間をつなぐもの。大事な、ホントに大事なもの「感謝の気持ち」を見つけました。

【ことば】食育だって、環境問題だって、行動が変わらなければ無意味だ。

弁当、食事に関する「ことば」には、感動するもの多数です。が、ここでは敢えてこの「ことば」をあげておきます。自戒を込めて。ここでいう「行動」は「弁当を作ること」ではなく、「感謝の気持ちを持つこと」と捉えています。行動。

すごい弁当力!―子どもが変わる、家族が変わる、社会が変わる

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