2009/10/09


[わかりやすく<伝える>技術](108/楽天Books)

Amazon ★★★★
K-amazon ★★★★★

久々「ヒット」しました!そんな意気込みはなく、「こどもニュース」で知っていた池上さんの本、くらいの認識で読み始めましたが、本質的に「わかりやすい」本だった。

直接的には「プレゼン」を最適化するための手法、という説明になっているが、これはプレゼンに限らず、他の場面にも応用が利くもの。この手の所謂「ノウハウ本」は少なくないが、得てして「わかりやすい」とタイトルにあるような本、それ自体が「わかりやす」くなかったりするんだけど、池上さんのこの本は、文章もその説明どおりに「わかりやすい」ものだった。

個人的にも、池上さんが「こどもニュース」をやっていたときは、かなりの確率で毎土曜日にTVを見ていた。そこで「こども」向けに説明している内容は、他の番組でみて「わかったつもり」になっていたニュースの本質を見る思いがしたことが何度もあった。(当時はそれが著者の力、という認識はなかったが)その後NHKを退社した後、民放にでている姿を見ることはあまりないのだけれど...(これはあくまで私がTVを見なくなったことによる)

本書のポイントである(帯にも書いてある)、
「3つのルール」=①聞き手に地図を②内容の「見える化」③話の「柱と枝」作り
等、繰り返し強調されているところはもちろんだけど、何気なくコラム風に触れている箇所、例えば、
「接続詞を使って、いかにも論理的な文章になっていないか」
「原稿を作るときに、『書き言葉』になっていないか」
「知ったかぶりをしていないか」
「誰に向けての説明になっているのか」
という基本なんだろうけど、実は抑えていないポイントが響いた。

講演、というほどではないけど、大人数の前で話す機会がある自分にとって、すぐに全てが実践できるわけではないが、これはかなり貴重なヒントをいただいた、という感謝の気持ち。少しずつでも実行に移していこうと思っている。

それにしても(本筋の内容とは関係ないが)、TVの生放送帯番組をもっている、というのは大変なんだなあ、と感じた。池上さんは、「ニュースセンター845」のキャスターとして、毎日、当日起きたニュースを「わかりやすく」解説していたのだが、これって「今日は間に合わないから」とか、そういう甘え、言い訳が一切きかない世界だよね。ましてやNHKだし。いかも池上さんは(これは知らなかった、というか知る必要もなかったけど)アナウンサーではなく、記者なので「しゃべりのプロ」ではないわけで、ますますすごい。
間違いなく、相当な努力をされていると思うのだが、それを全く出さない、もちろん記述もない。これが「プロ」なんだろうね。

もうひとつ関係ない話で、情報収集の手法として、「新聞」をあげている。大抵の本は「ネットでの収集テクニック」の紹介だけども、
「ネットでは自分が欲しい情報だけしか入手できない。新聞は否応にも「知らない、ほしくない」情報も目に入ってくる。そこから知識、世界が広がる可能性もある」
そっかあ...よく「辞書と電子辞書」の話で、(リアルの辞書の場合は)調べた語の前後も目に入るので、それが蓄積されたときに力になる...という話は聞くけど、それと同じことかも。でも「それと同じ」と「情報収集」を結びつける考えは今までなかった。気づき、だね。

今年読んだ本の中でも、個人的にはトップクラスです。池上さんの他の著作もさっそく読んでみようと思う。

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