2012/03/30

けして忘れません。


『忘れない。』西條剛央+ふんばろう東日本支援プロジェクトおたより班
[18/54]
Amazon ★★★★☆
K-amazon ★★★★☆

震災から1年。まだまだその地に暮らす人は苦しんでいます。でも、必死で生きています。そんな気持ちが伝わってきました。あの出来事を忘れるはずはない、と自分では思っていますが、被災者の方々との温度差はやっぱりあるんだろうと思う。
本書は、「ふんばろう東日本支援プロジェクト」が、電化製品や生活用品といった支援をする中で、被災地以外の方から預かった「手紙」を被災者に渡して心のつながりを作ってもらおうとする「おたより班」の活動。実際に被災者の方と支援者の方(そもそも双方会ったこともない間柄)でやり取りされた手紙が掲載されている。

正直、苦しんでいる被災者の方の「手紙」は、支援者やプロジェクトに対するものであるから、それを本を自分のような立場の者が読むのもなあ、と多少の違和感はあった。でも、このプロジェクトの方は物資の支援だけではなくて、手紙という心のやり取りもされていることを「知らなかった」自分がいたわけで、自分では何もできていないけれども、こういう現状、こういう支援の仕方が現実に行われている、ということを知っただけでもプラスなんだ、と思うことにする。そしてそのプラスの気持ちが自分の中で行動に移すきっかけになる、する。

一番胸が熱くなったのは、被災地の子どもさんが支援者に対して送った手紙のコピー。そこには「被災地のこども」ではなく、「日本の元気なこども」がいた。苦しい経験をしてしまっているけれども、これから先、きっと優しい、痛みの分かる人になる子どもがいた。その手紙でも励まされたし、明るくなれる。

避難所、仮設住宅ではなく、なんとか一部残った自宅などで暮らす方々の苦労も、身にしみるものが。メディアで耳にしたことはあったが、当然だけど、テレビで流れてくるものを受け取るのと、実際の方の発言(手紙)によるものは、現実感が違う。国や行政の支援が、一人ひとりに対する支援がまさしく必要であり、それを実現できるように、被災地以外の我々ができること、これを実行していくべきだと思う。

実際には先行きへの不安で苦しんでいる方々ですが、手紙の文面からは前を向いて顔をあげて生きている力強い姿が垣間見れました。プロジェクトの方が、手紙を直接手渡しする、つまり被災地に何度も足を運んでいることが、新しい絆を作り上げたのだと思う。

苦しい中で生きている方々のことを思うと、被災していない自分たちの、瑣末な悩みなどちっぽけなものだと思った。これは本当にそう思ったのだ。あれほどの被害を受けても立ち直ろうと起き上がる人たちに負けられないよ。
忘れることはないです。みんなが元気になるまでは、けして忘れません。

【ことば】毎日がれきの山を見つめながら、生活しています。がれきと呼ばれても、本来は家や皆の財産であったものです。

被災地とそれ以外の地域の「温度差」を感じてしまいました。最初から「がれき」だったわけではない。ひとつひとつにそれぞれの家族の愛や思い出、それがちりばめられているものなのだ。「がれき処理」なんて、もう言えない。聞くこともできないよ。

~被災地からの手紙 被災地への手紙~ 忘れない。

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