2012/03/22

必要なのは、この「やってみる」活力だ!

全力でスローボールを投げる
全力でスローボールを投げる
  • 発売日: 2010/05

『全力でスローボールを投げる』北尾トロ②
[12/48]Library
Amazon ★★★★☆
K-amazon ★★★★☆

2008年に週刊文春で連載されていたエッセイの「総集編」なので、多少ネタ的に古いところはあるが、この人の文才だろうか、面白い。最後まで面白かった。ヨワイ50歳のオヤジである(失礼)。このオヤジが、ネタのためにいろいろな流行りものを「体験」するのであった。
ネットカフェで夜明かし、タカラヅカ観劇、ブラジャー装着(男がブラジャーをする「ブラ男」なる流行があった?知らんけど)、その他諸々...自分で経験しなければ批評できない、という信念のもと、どんなに困難なものでも「体験」してみるバイタリティ。
プロの書き手である、という点はあるが、オヤジ、すげーな!って思います。確かに、自分が経験もせずに批判する輩ほど憎々しいものはなく、彼らの言うことなんて誰が聞くかよ!って思いはある。それがネタ作りであるにしても、気の進まないものもあるだろうに、チャレンジ精神は見習うべき点が多い。
マラソンに関しては、酒の席の話から現実に走ることになったという。素人の挑戦だから完全ではないけれども、フルマラソンまで挑戦しちゃうんだよ。単に「ネタ作り」というのを越えています。
50代にはまだ時間があるけれども、体力の低下は(好んでもないのに)実感しております、毎日。そんな自分にとって、「先輩」がこれだけ「チャレンジ」しているのは刺激になりますね。
ところどころ、「家族」ネタや、「同級生・友人」ネタも登場し、「いい人」的なコラムもあるんだけれど、個人的には無茶なチャレンジで玉砕したネタの方が面白い。ただ単に玉砕するだけではなく、そこから何かを感じ取れる「感性」を持っているのが、プロフェッショナルだなあ、と感じますね。
最も面白かったのは、素人を装って「エッセイ教室」に通う話。プロだからこそ感じる「教室」の空気があったり、そんな空気の教室を受け入れたり...そう、すべてのチャレンジに共通しているのは、その挑戦が玉砕に終わろうと、すべてをポジティブに受け入れる、その姿勢です。だからこそ、テンポよくいい気分で読みとおせるんですね。
そんな気持ちで挑戦を続けている50代は、かっこいいです。そしてネタを越えてマフルマラソンに挑戦し続けている(今も?)姿も、憧れますね。こういう50代もいいなあ。50代って「終盤」というイメージがあったけれども、まだまだ十分に「現役」でいける、って気持ちにさせてもらいました。
こんな元気な50代を迎えるか、「老人」のような時間になるのか。それは40代の「今」が大事、なんだろうなあ。

【ことば】おっさんがあえて青春を口にする以上はそれにふさわしい内容、必然性というんですか、それが欲しい。

「青春」という言葉が重い。そんな年代になった。「青春時代」よりは著者に年齢が近い自分には、この感覚が、分かる。特に甘酸っぱい思い出は浮かんでこないんだけどね。この言葉に関しては、10代、20代の頃と感覚がまるで違うんだよなあ。ちなみに、この言葉は「青春18きっぷ」を買う時の著者の心構えでした。

全力でスローボールを投げる


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