- 真田三代 (PHP新書)
- 発売日: 2011/10/15
『真田三代』平山優
[1/37]LIbrary
Amazon ★★★★☆
K-amazon ★★☆☆☆
これまで読んできた本のなかから「ベストをあげよ」と言われれば、間違いなく『真田太平記』(池波正太郎さん)をあげます。全十二巻むさぼるように読みました。2周しました。歴史モノ、戦国モノはそれほど読んでいないのですが、この本だけは別格なんです。
...というわけで「真田」には興味関心がありこの本を手に取りました。幸綱、昌幸、信繁(幸村)の3代にわたる真田家の「シンソウ」(真相、深層)を知りたい、っていう動機から。池波さんの「小説」と大きく異なり、歴史研究者が史料、史実に基づいて語る、という内容で...
残念ながら自分の「欲」を満たすものではありませんでした。史実をもとに、という研究者としてのスタンスであるので、確固たる証拠がないものに関しては断定できない、という立場でいらっしゃいまして、特に幸綱に関しては、その史実がない、という理由から詳細はうかがい知れませんでした。どちらかというと武田晴信(信玄)の行動やヒトトナリが中心に描かれている印象です。中盤の昌幸については家康のことが中心、最後の幸村については(それまでに比べると)多少ドラマチックになってきますが、この人物についてはページ数が多く割かれていない...
どちらが正しいとかいうことではなく、史実に基づいた「検証」的な書き方と、脚色も含めた「物語」的な書き方があると思いますが、「史実」の方は自分には合わないようです。もちろん真田家特有の個性から周りの武家との関わり、というのが重要なポイントで、そこの説明は必要ではあると思うのですが、人物が生きていないというか、声が聞こえてこないというか。淡々とした事実の記載というのは、なんだか教科書的なイメージです。
歴史をひも解く専門家や、専門家に近いような方にとっては、こちらが「正解」だと思いますが、「楽しく読む」ための読み物としてとらえている自分のようなタイプは、池波さんタイプがベターです。
いろいろな計り知れない事情があったと思いますが、「家」や「地域」の反映、拡大のために尽力した真田家の「地域政治」については一切触れられず、時流を見て「その時に」有力な大名に与する、という真田の姿が、日和見主義的な、政党を渡り歩くポリシーのない政治家のように思えてしまいました。
戦国時代は今からは考えられないほどの環境だったと思いますが、誰を切った誰についた誰が自害した、という書き方から、「最近の子どもは人を倒すゲームを繰り返して命の尊さを分かっていない」という一方的な批評をする評論家の言葉を思い出しちゃいました...
次は「小説」にしたいと思います。
【ことば】戦争は...不測の事態は避けられない。それをカバーしうるのも、周到な作戦計画と、相互のち密な連携・協力なくしては考えられない。
家康軍と対峙した「西軍」(豊臣側)の、軍団としての稚拙さを説いているもの。まさに。こと戦争だけではなく、すべてにおいて言えることでもある。寄せ集め故に敗れたといわれる西軍だが、東軍だって寄せ集め。リーダー不在と、フォロワー不在、不幸が重なった結果といえるのか。
真田三代 (PHP新書)
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