2012/03/19

自分で「考えること」が重要。

非属の才能 (光文社新書)
非属の才能 (光文社新書)
  • 発売日: 2007/12/13

『非属の才能』山田玲司②
[9/45]Library
Amazon ★★★☆☆
K-amazon ★★★☆☆

「空気が読めない」をはじめとする、「みんなと一緒が正しい」という流れ。マスメディアによる情報操作、大衆迎合、そんな世の中で、「多勢」に属さない生き方は正しいのかどうか。
著者は言う、みんなと同じことをする、同じものを見ることで、自分で考えることをしなくなる。「非属」で結構、それができる人間はそれだけ「自分で考える」力を持っていることだから...

みんなと同じ、が危険であり、お笑い番組で「笑い声」を流して、「ここ、わらうとこ」を示すのは、典型的な「自分で考えない」世界なのだ。実は多くの人が、この流れに対しては違和感を感じているのではないかと思う。違和感を感じつつも、結局迎合する自分...「楽」なんでよね、考えないで過ごせるから。

おそらくは、こういう考え=自分で考えることが重要=を持つ人は少なくない。その類の本も多く見かける。わかっちゃいるけれど、できない自分、これが問題なのかもしれない。「非属」すなわち孤独であるという恐怖。非属であることを生まれてから経験していないから、なのかもしれません。

そういう世の中で、大きく流れを変えることを実現しているのは、「変わり者」と呼ばれる非属の人たちである。 長嶋さん、ビートたけし...政治家が魅力的でないのは(選挙の時の言動とは別に)いつのまにか埋もれてしまうタイプばかりだから、かもしれません。

ただ、こういう非属の人たちが輝いているのは、見えないところで努力した結果であろうと思われる。また、自分の信念を、周りの人と合おうが合うまいが、徹底的に貫いた結果であろうと。すなわち、「非属」であるだけではまだ不十分で、そこから「何があっても貫きとおす」意思と努力を厭わない姿勢、信じ続けることがポイントではないだろうか。
若干、この「貫きとおす信念、努力」というのが、本書では感じられず、非属であることが大事、というニュアンスを感じてしまったが、おそらく本質はそういうことだろう。

「笑いどころサイン」で笑っている人も、実は考えているんだよね、余計なお世話だって。自分で考えることはできる人たちなんだ。それを行動に表すかどうか、というのが「違い」になってくるんだろう。

けれど、「非属」を自認して、それで苦労している人にとっては、前向きに考えることができるようになる、受け入れられる内容である。著者は「ひきこもり」を認めていて(自分で考え、「行動」している、という点で)彼らが暴力的になるのは、それを理解しない周りが原因である、と説く。これは極端な例えであり、そういう彼らでも迎合することなく、社会と調和できる、という意味合いで紹介している、と認識する。

先が見えない不安が世にあふれ、勝ち組負け組なる言葉がいまだに生きている環境。だけど、自分の信念を持って、周りがどうあろうとそれを貫く生き方も、少しずつ評価されてきているのは感じるんだ。どち

らを選択するか、バランスを取るか、それを「自分で考える」必要がありますね。

【ことば】 「耳はお財布耳にしなさい」つまり、人の話は一度なかに入れておいて、必要なときに出せばいいということだ。

非属であろうとなかろうと、人の話を聞く、受け入れる、というのは生きていく糧である。著者が続けて言うように、「否定から会話に入る人間が多くてうんざりする」のは事実。気持ちよくないよね。自分がすべて?自分が基準ですか?人の話を聞く「努力」は、ホントに糧になるのだから、気持ちよく、聞くスタンスを取りたい。

非属の才能 (光文社新書)


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