2011/09/30

「現場」感じます。熱くなれる!

ふむふむ―おしえて、お仕事!
ふむふむ―おしえて、お仕事!
  • 発売日: 2011/06

『ふむふむ-おしえて、お仕事!』三浦しをん
[17/173]bk1
Amazon ★★★☆☆
K-amazon ★★★★☆

16人の「働く女性」のインタビュー。聴くのは、直木賞作家。女性の世界、という区分けではなく、日本の伝統芸能から、アスリート、現場監督まで、幅広い分野で活躍する方々が登場します。その世界で優れた技術をお持ちの方...というよりも、その世界で「熱く」仕事をされている方々(もちろん類稀なる技術もお持ちなのでしょうけれども)が、自分の仕事を語ります。
インタビュアーである著者は、作家でありますが、「ゲスト」が活躍されているフィールドについて知識が豊富なわけではなく、「読者代表」のような共感を元にインタビューが展開されます。もちろん、事前準備が相当されているのは間違いないのですが、文章を読む限りは、素人が職人に教えてもらう、というような感覚を持ちます。これが心地よさを増幅。「プロ」である彼女たちの「よさ」を存分に引き出している、そして本業たる作家の「技術」により、文面からもインタビュー現場の空気、さらには、彼女たちの働く現場の空気までもが伝わってくる感じです。
このような「対談」って、淡々と臨場感がないものが多い、という印象がありますが、世間的に名を知られた超有名人ではなく(失礼...)、あくまで「現場」でその仕事に対してリアルタイムで挑戦し続けている現役、という方々が登場するので、自分のようなフツーのハタラクヒトにも共感を呼び起こすのでしょう。
「好きだから」「(相性が)合っているから」という理由で、その世界に浸かっている人が多いのですが、きっかけは人ぞれぞれ。偶然もあり、小さいころから、というのもあり。でも多分、「偶然」にしても、どこかで思い続けてきた「好き」があるのでしょう。呼び寄せた偶然、運命なのかもしれないなあ、って思います。いずれの方も、前向きに取り組んでいる「熱さ」を感じます。途中で投げ出さない、書かれてはいない(答えてはいない)壁も挫折もあったはずですが、それを乗り越えてきた「大きさ」を感じます。写真も何点か掲載されていますが、(人として)「いい顔」をされているんだろうなあって思います。
聴く方も、答える方も、登場人物は全員女性、という企画ですが、それに偏見やこだわりを感じません。女性なのにすごいな、ではなくて、ひとりの人間として、社会で働く人間として魅力的な人たちの物語、と感じられます。けしてすごい発明をした、研究をした、という人たちばかりではありません。そこも「近しい」感じを受けますし、「会話」も親近感を感じるもの。こういう「現場感」が、自分のようなフツーの人にも勇気を与えてくれますね。

【ことば】知りたいから、おもしろいから。...この世界をもっと知りたいという熱望が、今日もどこかで発見を生んでいる。

人が動くのは、この「知りたい、おもしろい」というのが根本だろうと思う。それがなかったら、「始める」ことはできても「続ける」ことはできないんだろう。そこに論理的な理由づけは不要ですね。これらを「見つける」ことも大事だし、そう思っていると、どこかで「見つかる」んではないかなあって思う。

ふむふむ―おしえて、お仕事!

【書評家のご意見】
本書の書評、見つけました!いろいろな意見、読み方があってもいいですよね

面白い本が読みたくて
本棚が倒れませんように。

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