- 適応上手 (角川oneテーマ21)
- 発売日: 2004/07
『適応上手』永井明
[10/183]Library
Amazon ★★★★☆
K-amazon ★★★★★
「元」医者の著者が、人間としての生き方を教えてくれる、そんな内容です。よくも悪くも「ストレス」に囲まれている社会の中で生きていかねばならない、そんなときにそのストレスにどう対処していくのか。度々警告を発しているのが、「過剰適応していないか?」という指摘です。気がついたら、社会の中で、或いは会社の中で、家庭の中で、「縛られて」いることはないだろうか?現代の、そして都会の「スピード」に適応していくことが、ホントに100%の「善」なのか?そこにいる個人としての自分は、ハッピーなのだろうか?ということを深く深く考えさせられます。
不本意な気持ちを持ち、それでも会社、或いは社会という「外部」の都合に合わせようとする。その中で「適応」していくのにどうしたらよいのか、というのが、いわゆる「ビジネス本」に書かれているような、世渡り術。仮にこれを完璧に身につけ、お金、名声、立場...欲しているものが手に入ったらそれが「幸せ」なんだろうか?そもそも、それらを「欲している」というのは、自分が、自分の中から純粋に湧きあがってきた望みであるのか?もしかしたら、「外部」の価値観に基づいて作り上げたものかもしれない。
確かにお金はあった方がいいし、いつまでも若くいたい、という願望はある。もちろんね。でも、それを得るために、カラダをココロを酷使するのは、はたしてどうなんでしょ?数年先にそれらが得られたとして、それまでの時間は(無駄ではないけれども)もはや取り返すことのできないものでもあるわけで。一攫千金がいい、という話ではなく、「相応の」というやや曖昧なフレーズになってしまうが、「適度」は人それぞれ、あるんだと思う。お金も大切だけれども、時間、そして「今、この時間」はもっと大切なのかもしれない。
もちろん未来の「時間」も大切だろうが、見えない未来に向かって準備する、「過剰に」準備することがどれほど大事なのか。そのために失う「今」の方が、損失が大きい場合もある。そんなことをホントーに心底考えさせられる。
能天気に生きる、ということではない。「今」を一所懸命生きる、ということが大事であり、自分の「心を満たす」ポイントを見失わないようにすることが何よりも大切だ、ってこと。「投資」ももちろん必要、でもしれは何に向かって行動を起こすかってことを間違ってはいけない。自分の、自分だけのポイントはしっかりを持ち続けるってことだ。
ストレスも、プライドも、そこに向かって進むために持てばいい。それ以外は「過剰」であり、背負うものが多すぎれば、本来の目的地に歩む速度が遅くなるのは当然。適度な重みを感じながら、着実に前に進む。これがいい。
そして...著者がこの本が出たころに、亡くなっていたことを知った。運命的なメッセージなのか...答えは、自分自身のこれからの行動で出そう。
【ことば】自分が生きる上で、「利益」ということはさほど重要ではない。儲かる儲からない以前に、企業が目指すものとぼくのそれとは、大きく異なっている。また、別の面でも個人が生きる方法論と、企業のそれとは異なっている。
なんで今まで気がつかなかったのか、不思議なくらい。そう、異なっているんだよね。あたりまえなんだけど。どちらを優先して生きていくのか、そんなのことばにする前に明らかだ。明らかだから、その方向に進めばいい。今からだって方向は変えられるのだ。
適応上手 (角川oneテーマ21)
【書評家のご意見】
本書の書評、見つけました!いろいろな意見、読み方があってもいいですよね
らっぱぴょんの読書日記
Pooh's Books
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