2011/10/13

必要なのは「自立」

大震災の後で人生について語るということ
大震災の後で人生について語るということ
  • 発売日: 2011/07/30

『大震災の後で人生について語るということ』橘玲
[6/179]bk1
Amazon ★★★★☆
K-amazon ★★★★☆

経済小説作家?という著者の本のイメージは、資産運用とか投資とか、そういう印象を持っていて、経論」めいたところもあるのではないかと期待を持って...
やはり中心は「経済」でした。金利とか為替とか、「その世界」の話なんですが、その根底にあるものは、震災を通じて身を持って感じている不安感、閉そく感、それらを乗り越えていくためには、誰にも頼ることなく(ましてや国、起業に)、自立することが肝要であること、それらのベースになるものが、「経済的な」自立であることを、本書の軸である、と捉えました。
それらは、前から言われていたことでもあります。国の財政状態や労働市場の変化についても、詳しくは分からないにしても、伝わってくるものは当然にありました。が、それが「震災」という大きな出来事をきっかけにして、「もはやまったなし」状態にまで迫ってきている、というわけです。
身につまされるものがあります。守るべきものがある以上、「経済」という基盤は軽視するわけにはいきません、当然。しかしながら残された時間(それほど多くはないです)に、自分はどういう生き方をするのか、それを考えるきっかけになります。これは、国債を買うとか、金を所有するとか、株式投資を始めるとか、そういったことの「前」の問題であって、世の中が、或いは自分の属する国が、これまでのように「全面的に」信用するに値するものかどうか、慎重に見極める必要がある、ということ。そしてこれからは、所与のものをどうこうする、という流れから、それらをどう「利用」するか、というのがポイントになる、ということ。
もうひとつは、そんな流れの世の中で、誰のために何を作っていくのか、これが最も重い、そして必須で考えるべき事項です。自分の存在、という大きな点にもつながること。「金がなくたって」というのは現実的ではない。重要なのは、その金が誰から、どのような流れで自分に託されたか、ということでしょう。「見えない」商いをしていても実現できないことです。得られた資金を、自分(の目的)にあった、スキームで運用すること。そして幸せになること。この基準は人それぞれでいい。
この新しいスキームに乗り、ストレスを軽減してゴールに向かうための条件。「知識」と「人脈」だと考えます。本書では「金融資本」と「人的資本」と表現されています。
年金だってどうなるかどうかわからない。でもそれを決めるセンセたちのマインドは何も変わらない。だったら、自分で生きていくしかない。
「新しい設計図」を手に入れよう、自ら書こう。

【ことば】...私たちは一人ひとりの金融資本と人的資本だけを頼りに、グローバルな市場経済と孤独に相対することを余儀なくされています。

国が企業が守ってくれる、という幻想はもはや持ちえない。必要なのは自分であり、超えていくのは孤独なのかもしれない。幼稚なことのようだが、「正しいこと」を実直に進行すること、これがコアになっていくんだと確信する。
大震災の後で人生について語るということ
【書評家のご意見】
本書の書評、見つけました!いろいろな意見、読み方があってもいいですよね



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